◇昔のПсиニュース◇
(Псиニュースの過去ログです)

◇平成16年02月◇

02月23日:高知長野市の家族殺傷事件、被告の精神鑑定終了
02月22日:フリル+ゴスロリ好き向けADV「ごす」発売
02月14日:t.A.T.u、終了
02月06日:TM NETWORK、COMPLETE BOX発売
02月05日:ACCSのCGIの脆弱性を指摘した研究員、逮捕される
02月03日:Schwarz Stein、解体
02月02日:黒夢、COMPLETE BOX発売

平成16年02月23日 高知長野市の家族殺傷事件、被告の精神鑑定終了

 今日は短めに。こんばんは、Псиです。
 ヴィジュというカテゴリは、世間的にはどの様に見えているのでしょうか。アニメやコミックなどで登場する「ヴィジュアル系バンド」はとりあえず美形かつ派手なヒトたちで話が終了。そのイメージを上手く組み合わせるとアニメ版の「快感☆フレーズ」ができるのでしょう。斯様に、世間一般のヴィジュ像には儚さも黒さも実装されていないことが多い為、基本的にヴィジュ好きからは見向きもされないことがほとんどです。
 これは、何もヴィジュに限った話ではありません。ジャンルやその信奉者の見かけと実体にギャップがあるという例は、そこかしこに転がっています。ちゃんと毎日お風呂に入っているアニヲタさんも、妄想でないコイビトのいるフィギュアヲタさんもこの世界にはしっかり実在しますし、そうしたヒトたちが信奉者の間で異端扱いされることはないはずです。

 さて、大阪府の河内長野市で起こった家族殺傷事件の続報が出ました。本当に簡単に要約すると、ヴィジュ属性の大学生とバンギャ属性の高校生が「家族を殺して自分たちも死ぬ」ことを誓って大学生が本当に家族を殺傷、事件自体も然る事ながらワイドショーなどで晒されたバンギャさんのサイトが余りにアレで話題になった、というお話です。もっと詳しく知りたい方は、以前のПсиニュースや、zeroplusさんの「平成15年11月1日大阪府河内長野市・家族殺傷事件」という記事が参考になると思います。
 Псиが見る限り、桃寿さんのサイトはヴィジュ文法で固められた、普通にバンギャさんのサイトであり、好き嫌いを別にしたらそれ以上でもそれ以下でもありません。「成績の良い優等生」とかのワイドショー的評判はさて置いて、読解可能な文章を含んだサイトを作れる時点で世間的にも普通のヒトだと思うのですけれど。
 そんなぽっと出のПсиのただの感想を余所に、どうやら大学生と桃寿さんの精神鑑定が終了した様です。結果、二人とも「精神疾患」を認められたそうなのです。

 大阪府河内長野市の家族殺傷事件で、強盗殺人などの非行事実で大阪家裁に送致され、精神鑑定を受けていた私立大学1年の男子大学生(19)と交際相手の高校1年の少女(16)について、鑑定人の精神科医が「2人とも精神疾患で医療治療行為が必要」と診断したことが23日、関係者の話でわかった。

 精神鑑定書は同日、家裁に提出されたが、2人が精神疾患を指摘されたことで、刑事責任能力が審判での焦点となり、家裁の処分にも影響を与えそうだ。

 同家裁は、大学生と少女について昨年12月11日から計75日間の鑑定留置を決定。精神科医1人が面接や心理テスト、捜査記録の検討などを通して調べていた。

 関係者によると、鑑定の結果、2人は同じ病名の精神疾患に罹患(りかん)しているとされたほか、大学生については別の精神疾患の併存も指摘され、いずれも「専門的な治療が必要」との所見が示されたという。刑事責任能力の有無には言及していないとみられる。

[家族殺傷の大学生・少女とも「精神疾患」診断…鑑定書(YomiuriOnLine)]

 具体的な病名は隠しているみたいですね。ちなみに、「精神疾患」をWikiPediaで調べてみると、

精神疾患(せいしんしっかん)とは、統合失調症や躁鬱病といった精神病から、神経症(現在では神経症という用語は用いられない事もある)、パニック障害、恐怖症といった中、軽度の精神障害に至るまでの疾患を含めた言葉である。

精神疾患の治療を担当するのは主に精神科であるが、患者の症状や状況によっては内科など、他の科で診察、治療が行われる場合もある。

[精神疾患(WikiPedia)]

 すごく広いコトバですね。認識としては「実生活に影響を及ぼす精神系の病気の総称」・・・とかでよいのでしょうか。
 さて、Псиは殊更に「サイトを作れるだけの頭がある」「読解できる文章がかける」ことを理由に、桃寿さんは普通であるという感想をお話してきました。また、あの辛気臭いデコレーションの数々はヴィジュ界隈、特にリスカとか精神系を好むヒトには普通に有り得るレヴェルであり、異常な要素はそうそうなさそうだ、という感想を持っていることもお話してきました。
 しかし、耽美を追いかけて母親を殺し、父親と弟を傷つけた大学生と同様、桃寿さんも精神疾患を持っていると認められてしまいました。いえ、サイトから得られるそのヒトについての情報量なんて微々たるものですし、「サイトから得られる情報がそのヒトのすべて」という発想は炎多留」をプレイしてBLの世界全部を見た気になるのと似た様なことだとは思いますけれど。
 GULLETのシングル「Mad bless you」に収録されている「Instance」という歌の中に、こんな歌詞があります。

意外な一面をTyPeです
現実ショウアップ ダイアリー
偽名で匿名がスタイ ルです
IP,IDが生命線
狂気装う自称サイコなんて
大体正常で
3原色 浅い 2D
夢見せてよ

InStAncE
放し飼いの 蛇 が
戯けるだけで
生きられる
そんな「世界」
そうだ
貴方に見せられない顔だ
今の俺なんて
笑えない子供が
無理して作る笑
        顔
         。

[Instance(GULLET)]

 病んだヒトはいかにも病んだ様な表現を好まなさそうとか、句読点がちゃんと打てていればとりあえずは正常といったПсиの物差しは、もしかしたら大きく違っているのかもしれません。
 もう事件自体が完全に下火なので、全国のバンギャさんがワイドショー好きの母親から集中砲火を受ける様なことはないでしょうけど。願わくば、ヴィジュ好きという一面だけをピックアップされて、再びヴィジュ界隈が面倒なことになったりしませんように

 Псиは、ヴィジュ界隈を引っ掻き回すヒトに赤い波動拳を送り続けます

 

平成16年02月22日 フリル+ゴスロリ好き向けADV「ごす」発売

 ゴスロリって狭いのか広いのか。こんばんは、Псиです。以前、テーマが「ゴスロリ」一本槍だったゲーム「黒薔薇は夜に咲く」について取り上げたことがあります
 Псиは01月からこっち4曲で\1,800の会場限定版を買ったのに4曲+映像特典で\1,800の通常版が発売されてがっかりに代表される大量のCDや、「真・女神転生III-Nocturn」をプレイ中なのに買ってしまった「真・女神転生III-Nocturn マニアクス」順調に積まれたままの「Fate/stay night」などを立て続けに購入してしまった為に、深刻な所持金不足。もはや宿屋で一拍どころか「やくそう」の購入もあやしいレヴェルです。
 従って、地雷のにおいがぷんぷんする「黒薔薇は夜に咲く」を購入する余力は無し。このゲームの存在を知ったロゼヲモンド倶楽部さんが感想を書かれています(01月24日)が・・・やはり訴求点が「着せ替え」では仕方の無いところでしょう。

 さて、少し前にNot a Serious Woundさんで紹介されていた「ごす」というゲームの発売が迫っています。こちらはMeta-Dollというメーカーの18k初作品となる様ですが・・・サイトの至る所で「手書きでは表現できない」ふりふり感を訴えていますが、18k初参入で3Dなんて頑張り方無駄に死に急ぐだけなのでやめた方が良いと思うのですけれど。
 ストーリーもストーリーで、

 明治時代の洋館風を改造して寮施設にした一風変わった建物、「葵荘」。そこに集まった「ゴスロリ」ファッション
大好きな女の子達。葵荘の持ち主、葵が「ゴスロリファッションさえしてれば、家賃が無料になる」という特典を
つけているが、住人達は好んでゴスロリファッションをしている様子...

 ええと、創作だからなんだって自由ですけれど、もうちょっとはどうにかした方が良いのでは。このお話は、ひょんなことから住人全員がゴスロリに身を包んだ葵荘の管理人となった主人公の諸々を描いている様なのですが・・・話についてはこれ以上は触れますまい
 このサイトでは、ストーリーやキャラクターの紹介ページに「ゴシック&ロリータ マメ知識」と題されたコラムが掲載されています。こちらは「最近流行りのロリータ」「ゴスロリの「ロリ」」「ゴシックって?」「つながり」「ゴスロリは永遠に」という全5回で、ゴスロリの発祥についての考察を述べています。この中でのゴシックの定義が大変しびれるので、ちょっと取り上げてみましょう。

 ゴシック(Gothic)の語源となったはゴート(Goth)人です。ゲルマン人と言った方が聞き覚えが
あるかもしれません。「ゴシック」はルネサンス(1400-1600ごろ)時代の学者が、外部から進入して
きた異文化に対しする「悪口」として名付けたのが始まりと言われています。当時は主に建築美術
(建築=教会が中心)に対して呼称されていた様です。

 現在での「ゴシック」は、主に12〜14世紀の中世ヨーロッパ時代の文化や時代の総称として
使用されるが多く、「ゴート人の文化」を限定として使われる事はないようです。したがって、ゴスロリ
の「ゴス」は中世ヨーロッパの文化を指すと思って間違いないでしょう。

 この頃にはすでに階級制度が確立しており、その階級によりファッションが大きく異なっています。 色々と調べては見たのですが、残念ながらどの階級でどの様な子供服が流行っていたのか、検索し 尽くす事ができませんでした。

[ゴシック&ロリータ マメ知識3 〜 ゴシックって? 〜]

 ごめんなさい、間違ってます。ゴシックは
 12世紀〜16世紀のヨーロッパで「ゴシック様式」というのが流行しました。ゴシック様式の発祥はイル・ド・フランス地方に建てられた教会と言われていますが、当時流行していたロマネスク文化とゴート族の様式が融合する前の本当の起点は、イギリスの貴族が作った廃墟の様な庭園だと言われています。廃墟の様な建物と庭園が作り出す、ある種現実離れしたその光景に当時の貴族は感動し、こぞって真似し始めたのでした。この頃の「ゴシック」は「ゴート族の様に野蛮で悪趣味な」という意味を持っていました。
 その後、18世紀のヨーロッパでゴシック文学が流行します。こちらは、「吸血鬼ドラキュラ」や「フランケンシュタイン」などの現実離れした突拍子も無い怪奇小説の総称。どちらも「現実から離れた描写」に共通点がある為、この特徴を取って「ゴシック文学」と呼ばれる様になったわけですね。この辺りの詳細は小池滋先生の講演集である「ゴシック文学をよむ」という本にわかりやすく書かれています。
 どちらも悪趣味の権化の様な意味を含んでいるわけですが、それはさて置いて。「ゴスロリ」の「ゴス」は、ゴシック様式よりもゴシック文学に影響を受けているところが大きいと思われます。ゴシック様式の刺々しさや装飾華美な点が被りそうに見えますが、そうした点はしっかりゴシック文学も含んでいますし、逆に建築様式よりは文学の方がファッションと結びつけるのに無理が無いかと思いますし。

 ですから、ゴシック様式やゴート族について調べても「ゴス」はわかりません。更に中世ヨーロッパでのロリータの扱い=ゴスロリというのはかなり見当違いです。
 などと黙々とディスプレイに突っ込みを続けるПсиが、コラムの続きを読むと・・・コラムが驚くべき展開を見せていました

 そこで、ファッションとしてのゴシックを調べる事にします。Googleさんに聞いてみました。(英語です)
翻訳サイト片手に読み進めたところ、なんと!どうやら「当時のファッションとは関係ない」ようです!
どうやら80年代のロンドンで開かれた、ゴシック時代の教会建築美術(彫刻など)をモチーフとした
ファッションショーが始まりのようです。

  当時は吸血鬼・キリスト教会などのデザインが深く関わり、十字架などが必ず施されているなど、
かなり異端なファッションであったようです。この流れをついでか、現在でもビジュアル系と呼ばれる
ファッションの部類と混同される事が多く、また、多くのビジュアル系ファッションでもゴスのデザインが
至るところに取り込まれています。

[ゴシック&ロリータ マメ知識4 〜 つながり 〜]

 論を全部蹴っちゃいました。なんの為に「ゴシック」と「ロリータ」を繋げようとしていたですか。・・・しかし、このコラムは全編に渡ってこんな感じで展開しては蹴るの繰り返しなので、読んでいて疲れます
 というか、どうして書籍や日本語のサイトに頼らないんでしょうね。その後、「ゴスロリの起源は自然発生したものらしく良くわからない」と結論付けていますが・・・普通は発祥にMana様を挙げておけば間違いないと思いますが、もう突っ込みに疲れました情報を募集しているそうなので、誰か突っ込んであげると良いと思います。
 それはそうと、コラムを読む為にページにある画像も見た(注:いちおう18禁)のですけれど・・・造形のアレさには目を瞑ったとしても、とりあえず下着があまりにも普段着なのがとても気になったです。キャストの中にはどう見てもゴスロリじゃないヒトも何人かいますし。

 とりあえず、パッケージが安売りワゴンの匂いを発散しているのはさて置いて。最近とみに歪められて確立されそうなジャンルである「ゴスロリ」、一体どの様な進化を遂げるのでしょうか。Псиは、興味というよりも後々無駄にうんざりしない為に、生温かく見守ろうと思います。

 Псиは、「ごす」をちっとも祝福する気になれません

 

平成16年02月14日 t.A.T.u、終了

 *おたんじょうび おめでとう*
 そんな、口煩いオバンギャとタメを張るくらいに良い年齢のゲーマーさんの微笑みを横目に見ながらこんばんは。Псиです。
 今日は02月14日、ちゆさんの誕生日ですので、ちゆさんと同じ配色でお話をお届けしようと思います。ゴス少女の集うお茶会で一人コブラのコスプレをしているヒトくらいに違和感を発していますが、お付き合い頂ければと思います。
 なお、Lynxやw3m等の配色という概念が無いWebブラウザをご利用の方は、今のお話は聞き流して下さい

 それでは、今日のニュースです。みなさんはt.A.T.uを御存知でしょうか。Псиも、今までに何度かニュースで取り上げてきました。ここで、簡単に前回までのあらすじをまとめてみましょう。

 前回までのあらすじ
 女性同士のキスシーンを含んだPV、イギリスでは放映禁止・・・そんな触れ込みで入荷された女性デュオt.A.T.u。代表曲であり、PVが議論を巻き起こした曲「All the Things She Said」とアルバム「200 km/h in the Wrong Lane」は日本でも大ヒット。
 大人気の中来日したt.A.T.uは、さらなる人気を得る・・・かと思いきや、なぜか奇行を繰り返した。予定されていたイヴェントを急遽キャンセル、生放送の音楽番組で突然の出演キャンセル・・・その報いか、東京ドームで開かれた2DAYSのライヴは空席が目立ち、オークションでは映画「REX」のチケット並みの価格でチケットが叩き売られるまでになってしまった。
 アニメ映画制作、ロシア大統領選への出馬表明、その他どう振り返っても溜め息しか出ないt.A.T.uに、不仲説や解散説まで流れ始めた。果たして、彼女達の未来は!?

 以上、大変無難なまとめでした。昨年06月の初来日に向けて毎朝t.A.T.u情報を流していた「めざましテレビ」が、ミュージックステーションをエスケープした頃から明らかに意気消沈している様などは、大変感慨深いものがありました。
 それ以降、場を引っ掻き回して笑っているヒトという印象が付いたt.A.T.u、やはり一番の問題は全然曲を出していないことだと思います。作品は素敵だけど奇行が目立つアーティストなら色々と許されると思いますが、アルバム一本槍で奇行が目立つアーティストただの一発屋さんです。もちろん、次の作品が耳を覆いたくなる程アレな可能性が無くも無いわけですが、それでもいつまで経っても次回作の「家族」なゲームを出さないメーカーよりはずっとマシです。

 そんなt.A.T.u、海外ボツ!Newsさんによると、どうやら動きがあった様です。一体何があったのかというと・・・どうやら、t.A.T.uは終わる様です。でも、解散では無い様です。なんだか綾波系キャラの観念系ひとりごとを言っている様な気分になってきたので、とりあえずソースを出して誤魔化してみます

The self-proclaimed lesbian band believe Ivan is only interested in creating scandals rather than developing their artistic talent.

But because he holds the copyright to their recording name, then Tatu must be ditched too.

Band member Julia Volkova was quoted as saying: "Ivan spends his time thinking up scandals instead of planning our artistic work. I'm sure our fans would rather hear new songs and new albums than new scandals."

He is credited with idea of portraying the female pop duo as lesbian lovers.

And he was arrested last year after arranging for hundreds of schoolgirls to attend a Tatu video shoot in Moscow's Red Square dressed in mini kilts, long socks and white blouses.

The girls were then told to kiss each other in front of Lenin's tomb and St Basil's Cathedral for the video - but the cops stepped in and stopped the shoot.

[Tatu change manager and name(itv.com)]

 というわけで、t.A.T.uのコンセプトメーカーにして、すべてのスキャンダルの仕掛け人とされているIvanさん、脱落です。それと同時に「t.A.T.u」という名前も捨てるということですね。
 日の目を見ようと頑張るアーティストが、そして日の目を見させようと頑張るスタッフ達がいます。その方法は様々で、ニッチなジャンルだと思ってヴィジュ風味を狙って大失敗したり、ラジオを中心に展開したらそこそこ当たったものの顔が出た途端に人気も降下したりといったちょっとした間違いの数々から、実力と運とその他諸々を持ったヒト達が日の目を見るわけですが。
 t.A.T.uは、幸運にも日の目を見ることができました。それも世界レヴェルで。そこまで上ってしまえば、後はただ自分の表現したい様に表現するだけです。もちろんそれは建前で、やりたい様にできるヒトなんてそうそういませんが。とりあえず日の目を見る為のカラダを張った努力は必要ありません。
 「レズビアンの女性2人組デュオ」という読み、そしてそんな彼女達の歌う曲は大当たりしました。しかし、その後のアクションはどう贔屓目に見ても悪ノリです。いろんなヒトに迷惑をかけました。上のЮляの「Ivanは私たちのアーティストとしての活動よりも、新たなスキャンダルを考えることばかりに真剣になった」というコトバが本当で、誰が見てもアレなアクションは起こさなくなり、t.A.T.uが素敵なアイテムをリリースし続ける様な展開を、Псиはちょっと本気で祈っています。ただ、名前を変えても佳作を連発しても、日本での評価は簡単には覆らないでしょうけど。

 ヴァーチャル・フォールン・エンジェルПсиは、t.A.T.uに控えめに祝福を送信するのと同時に、おかしなとばっちりを受けそうな「t.A.T.u PARAGATE」を生暖かく見守ろうと思います。

 

平成16年02月06日 TM NETWORK、COMPLETE BOX発売

 BOXの話題ばっかり。こんばんは、Псиです。REBECCAやSIAM SHADEや黒夢など、色々なアーティストがBOXをリリースしています。Псиとしてはcali≠gariの実験室集+視聴覚集BOX+特典DVD「休」完全版をリリースしてほしいところですが、きっと叶わない妄想なので脇に置いて。
 みなさんはTM NETWORKをご存知でしょうか。「ぼくらの七日間戦争」というワードでFatimaを思い出すヒトはさておいても、何度目かわからない再放送のCITY HUNTER主題歌「GET WILD」や「逆襲のシャア」主題歌「BEYOND THE TIME」は耳にしたことがあるかもしれません。
 1984年04月21日にデビューしたTM NETWORKは・・・と、TM NETWORKの略歴をお話しようと思いましたが、どこを網羅して良いか判らないままひたすら長くなりそうなので割愛させて頂きます。詳細は公式サイトのhistoryに譲るとして、とりあえず小室哲哉大先生(以下「先生」)が結成した3人組という点をおさえておけばなんとかなるでしょう。

 デビューから20周年を数える今年、TM NETWORKが本格的に動き出す様です。02月25日にシングル「NETWORK™」、03月24日にアルバムのリリースが決定している上、更には雅-miyavi-ばりにそのままなドメインの特設サイトまで立ち上げる力の入れ様。更には、03月26日にEPIC時代の音源を集めたBOXをリリースするというのです。その内容は・・・

 (24bitデジタルリマスター音源/紙ジャケット仕様)
1.RAINBOW RAINBOW
2.CHILDHOOD'S END
3.TWINKLE NIGHT
4.GORILLA
5.Self Control
6.Gift for Fanks
7.humansystem
8.CAROL〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜
9.DRESS
10.RHYTHM RED
11.EXPO
12.TMN COLOSSEUM I
13.TMN COLOSSEUM II
14.TMN CLASSIX I
15.TMN CLASSIX II
16.TMN BLACK
17.TMN RED
18.TMN BLUE
19.TMN final live LAST GROOVE 5.18
20.TMN final live LAST GROOVE 5.19
(注:本商品は、レーベルゲートCDではなく、通常のCDになります)

<スペシャルディスク>詳細は近日発表

価格:25,200円(税込)、24,000円(税抜)
完全生産限定商品・ナンバリング仕様

完全生産限定商品につき、お早めのご予約をおすすめ致します。
店頭予約締め切り:2004年2月26日(木)

発売日・仕様の一部が変更になる場合がございます。予めご了承下さい。

 ・・・うわあ。EPIC時代のアルバムが、確かに全部入っています。というか、このラインナップに「Gift for Fanks」(ベスト盤)は明らかにオーヴァーキル。過去音源に収録されていない「GET WILD」も「TMN BLACK」に収録されていますし。それくらい馬鹿正直にベスト盤やリミックス盤、ライヴ盤まで網羅したこのアイテムは本当に素敵・・・といいたいところですが、実は不足があります
 それは「TMN GROOVE GEAR」。CD3枚+「TOUR EXPO」のライヴヴィデオ+キーホルダー+Tシャツ+ブックレットという構成で発売されたこのアイテム、キーホルダーやTシャツははっきり言ってどうでも良く、CDとヴィデオが大変話題を集めました。CDはベスト曲+過去の秘蔵音源で構成されており、たとえば先生が♪ラララで歌っているGET WILDのデモテープや、先生がピアノを弾きながら歌っている「THIS NIGHT」など、先生好きにはたまらない逸品。合間にそのまま過去の音源やライヴ音源も収録されているのですが、アルバム「humansystem」から「FALLIN' ANGEL」「DAWN VALLEY」とかイントロが全然違うライヴ版「RAINBOW RAINBOW」など、異常にファンのツボを突いたセレクトでした。
 同梱されていた「EXPO」のライヴヴィデオ共々、いい加減復刻してほしいのですけれど・・・やっぱり無茶な願いでしょうか。それならそれで、「TIME CAPSULE-all the singles-」に収録されていた未発表曲「Detour」なども収録して欲しいところです。その辺は同梱の豪華3大スペシャル・ディスクに期待しましょう。

 EPIC後の新しい音源は「キヲクトキロク〜Major Turn-Round」で大体網羅できますので、予習として復習してみると良いかもしれません。そうしてTM熱に火が点いた方や無駄に20世紀末に立ち返りたい方などは、このBOXを購入されてはいかがでしょうか。Псиは・・・アルバムは全部持っているので、特典で決めようと思います

 Псиは、TM NETWORKに黄金の祝福を送信します


02月12日:追記

 特典が発表になりました

<スペシャルディスク>
スペシャルディスクI 必聴!
名曲"Get Wild"の全ヴァージョンが一枚のCDに!
『ALL the "Get Wild" ALBUM』

1987年4月8日にリリースされ、TM NETWORKを語る上で欠かすことのできない名曲「Get Wild」。CDとしてリリースされた全てのヴァージョンに加え、これまでライブビデオのみに収録されていた「Get Wild(FANKS CRY-MAX Version)」、「Get Wild (EXPO ARENA FINAL Version)」を初CD化。全10ヴァージョン収録。

 ・・・うわあ、すごくどうでもよさげです。それにしても、Get Wildだけで10種類もありましたっけ。ええと、オリジナル、Get Wild '89、Get Wild-techno overdub mix-(CLASSIX版)、Get Wild(COLOSSEUM版)、Get Wild '89(LAST GROOVE 5.18版)、Get Wild '89(LAST GROOVE 5.19版)、Get Wild Ver.0(GROOVE GEAR-01に収録された先生ハミングのデモテープ版)、Get Wild(GROOVE GEAR-02に収録されたライヴ版)・・・プラス記事にある2つ(「Get Wild(FANKS CRY-MAX Version)」、「Get Wild (EXPO ARENA FINAL Version)」)で、なんとか数は集まりますけれど。あれ?でも、5.19には北陽系大人の事情でGet Wildは収録されていなかった様な・・・そうすると9曲・・・あれ?
 とにかく、普通に胸焼けしそうです

スペシャルディスクII 必見!
伝説のビデオコンサート"BEE"が、DVD映像でよみがえる!
『"BEE" presents TM VISIONS』

伝説のビデオコンサート"BEE"でのみ発表されたオリジナル映像作品「TM VISION I」〜「TM VISION VI」を完全収録。渋谷PARCO PARTV(84/12/05)、日本青年館(85/10/31)、中野サンプラザホール(86/07/17,18)、読売ランド・オープンシアターEAST(86/08/23)など初期の貴重なライブ映像、"BEE"オリジナル撮影のミュージックビデオやコメントを収録。そして、必見の「小室哲哉ロングインタビュー」、木根尚登第一回監督作品「日本一のバンド男」などなど、"BEE"でしか見ることの出来ない秘蔵映像満載。初DVD化。(DVD 2枚組)

 いきなり濃くなりました。うわあ、「TM NETWORK in THE VISION」だ。当初からクリップに力を入れていたTM NETWORKが、クリップやツアー中に録った遊び映像などを公開していた「TM NETWORK in THE VISION」、まさかちゃんと帰ってくるなんて。
 Пси、俄然買う気になってきましたが、それでもやはりGROOVE GEARを復刻して欲しいところです。オリジナルよりちょっと賑やかな「NIGHTS OF THE KNIFE」とか、Over the Rainbowな「パノラマジック」を聴きながら暗いお部屋で無駄ににやにやしたいのです。
 しかし、既にCD1枚+DVD2枚も特典に割り当てているわけで、まさか更にCD3枚組のGROOVE GEARなんか来るわけが・・・

スペシャルディスクIII 必携!
究極の“マスターピース”完成への最後のディスク!
『TMN GROOVE GEAR 1,2,3』

1994年5月26日、完全生産限定商品としてリリースされ、その後一切のプレスが行われなかった3枚のコンパクトディスク「TMN GROOVE GEAR 1,2,3」が"DOUBLE-DECADE"を迎える2004年に完全復刻!
完全生産限定の為、入手困難を極めた音源に24bitデジタルリマスタリング処理を施し、スペシャルディスクとして収録。これが、究極のマスターピース"DOUBLE-DECADE COMPLETE BOX"完成への最後のディスクです。
完全生産限定商品につき、お早めのご予約をおすすめ致します。

 オーヴァーキルにも程があります。どうしましょう、本当にGROOVE GEARのCDが来てしまいました。GROOVE GEARには「TMN EXPO ARENA FINAL」のヴィデオが付いていたのですが、収録時間が119分と充分に単体で製品にできる代物。そちらは別にDVDでの復活の機会を待つとして、GROOVE GEAR3枚が入ったこのBOXは看板に偽りがありません
 ここへ来て異常に内容が充実してしまったこのアイテム、Псиはきっと買ってしまうでしょう。GROOVE GEARはなぜか2だけ紛失してしまった為、先生単体の「THIS NIGHT」が聴けなくて困っていたのです。オリジナルアルバムも幾つか紛失してしまっていますし、これはとても良い機会といえます。なにより、CCCDじゃありませんし
 とりあえず、「コンプリート」というコトバの意味を黒夢BOXを企画したヒトはTMを聴きながら鬱々と考え直すと良いと思います。

 Псиは、TM NETWORKの作品に金色の祝福を再送信します

 

平成16年02月05日 ACCSのCGIの脆弱性を指摘した研究員、逮捕される

 マイブームがジャイアニズム。こんばんは、Псиです。最近、テレビ番組でそんな主張をされている方を見たのですが、同時進行で.hackをプレイしていたので、その真意を聞くことができませんでした。ジャイアニズムという概念を研究中なのか、ただ単に自分が悪人であることを主張しているのか、はたまたナイトメアの「ジャイアニズム」にはまったのか、今更ながらに気になります
 ジャイアニズム、すなわち「俺の物は俺の物、お前の物も俺の物」という良く言えば共有、悪く言えば強奪な思想は、普通は社会とは相容れません。こうした言動を行うと、然るべき機関なり組織なりに怒られることになります。
 各種データの取り扱いややソフトウェアのライセンス等、コンピュータ関係の著作権を管理している団体に「ACCS」があります。ACCSの正式名称は「社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会」。一般的にはWinny利用者が逮捕された事件で調査に一役買っていたり、ゲームの中古や改造に口出ししたりと、電車広告でまでユーザを苛む怖い団体というイメージがある様です。そのせいか、現在渋谷の東京写真美術館で行われている「レベルX」における、ファミコンのソフトウェアの著作権者探し等の活動はあまり表には出ないみたいです。

 さて、ソフトウェアの著作権や個人情報の保護を扱うACCSの運営しているWebサイトから、個人情報が漏洩する事件が昨年の11月に発生したのですが、その犯人が、逮捕されたのはご存知の方も多いかと思います。ちょっと記事を見てみましょう。

 社団法人「コンピュータソフトウェア著作権協会」(東京都文京区)のサイトから不正に個人データを引き出し、協会の業務を妨害したとして、警視庁は4日、京都市南区唐橋赤金町8、京都大学知的財産企画室研究員、河合一穂容疑者(40)を不正アクセス行為禁止法違反と威力業務妨害の容疑で逮捕した。河合容疑者は盗んだデータをイベントで公表していた。

 調べでは、河合容疑者は昨年11月6日〜8日の間、計7回にわたり自分のパソコンから協会のサイトに不正にアクセスし、協会に相談や情報提供した人の住所、氏名など約1200人分の個人情報データを入手。同月8日に渋谷区内で開かれたイベントでこのデータを公開したうえ、情報が漏れたことをメールで協会に知らせ、サイトの閉鎖に追い込んだ疑い。

 河合容疑者は、掲示板サイトなどで一般的に使われているプログラム「CGIプログラム」の一部を書き換えて、利用者がパソコンからインターネットサイトに書き込んだ個人情報などを不正に取り込んでいた。

 イベントでは、約200人の参加者に河合容疑者が不正アクセスの方法を公開し、その後、参加者がまねて不正アクセスしたケースも確認されている。河合容疑者はアクセスの事実を認めているが動機や目的については供述していないという。(後略)

[不正アクセス:個人データ引き出す 京大の研究員を逮捕(毎日新聞)]

 上だけ見ると、犯人とされる「office」氏はただのクラッカーみたいですが、よく見ると「イベント」がどの様な主旨のイベントだったのかがわかりませんし、イベントでデータを公開+情報が漏れたことをメールで協会に知らせる=サイトの閉鎖に追い込んだという関係がなにかおかしい気がしますし、ちょっと不思議なお話です。
 これらの疑問は、ACCSがWebに掲載している事件経緯調査報告書が答えてくれそうです。ちょっと経過を要約してみましょう。

  • 2002年12月、ASK ACCSで使用されているCGIスクリプトに関して、サーバを管理している会社が脆弱性を認知
  • 2003年03月、12月の脆弱性をfixした新しいヴァージョンのCGIスクリプトがリリースされる。上記脆弱性が今回の手口だったらしいので、アップデートを行わなかったらしい。なお、リリース元は今回の騒動を受けて「脆弱性のことを明示的に言わなかったことについてお詫び」している
  • 10月06日以降(それ以前はログが残っていない)、office氏が4回に渡ってASK ACCSのサーバ上にある個人情報にアクセス。調査時に残っていた最古のログがこの日付なので、もっと以前からアクセスしていた可能性もある
  • 11月08日、セキュリティセミナーが開催される。office氏はセキュリティに関するプレゼンテーションの中で、入手した個人情報(1,184件)の内4件を表示。この4件の個人情報を含んだファイルは、セミナー参加者にはダウンロードが可能だった。無線LANを使用していたこともあり、どの端末がダウンロードしていたかは(おそらく)不明
  • 11月08日20:23、office氏がASK ACCSを運営しているサーバの管理者に対し「個人情報が漏洩している」旨のメールを送付。その中には漏洩した個人情報も記載
  • 11月09日正午、ACCS会員がメールに気付く。同時に当該CGIを使用不可にし、サーバ上の個人情報をすべて削除
  • 11月09日16:30、サーバ管理会社が当該CGIをサーバレベルで使用不可にする。また、ACCSはoffice氏とメールで連絡を取り、情報交換を開始
  • 11月11日、ACCSが個人情報を漏洩されたヒトに対し、お詫びの連絡を入れる。また、ASK ACCSにはお詫びの文章をアップし、それ以外のコンテンツを全閉鎖
  • 11月11日深夜、ASK ACCSを管理していたレンタルサーバ会社が、「CGIに重大な問題があった」として全ユーザの当該スクリプトを「緊急暫定対策版CGI」に強制的に置き換える
  • 11月12日、ACCSが会見を開く。「ACCSが呼びかけてきた個人情報の保護にACCS自身が失敗してしまった。まさに“足元から火がついた”状態で、非常に申し訳ない。原因を究明し、二度と起こらないようにしたい」---ACCS久保田専務理事談
  • 11月12日、office氏がACCSに、取得した個人情報は完全に抹消したことを通知
  • 11月18日、office氏が自分のWebサイトで謝罪分を掲示
  • 11月20日、office氏がACCS来訪。個人情報の取得が目的だったのではなく、脆弱性の調査を行うことが目的だったことを説明し、謝罪。また、ACCSのサーバ上より得た個人情報を外部には流出していないこと、関連するファイルはすべて消去したことを確認した
  • 12月03日、事故調査委員会結成。また、これまでの間にACCSが既に流出した個人情報について、拡散していないかの調査を行うも、特に確認できず。この監視の中にはファイル共有も入っている
  • 12月某日、office氏が朝日新聞のインタビューに答える。「サイトの安全性について)警鐘を鳴らそうとした。このプログラムにはもともと外部からの侵入を防ぐ仕組みがなく、不正アクセスに当たらない」---office氏談
  • 01月22日、事故調査委員会が報告書を提出。経緯と流出範囲をまとめると共に、技術的な原因(脆弱性のあるCGIの利用)と本質的な原因(ACCSのセキュリティチェックが充分でなかったこと、CGIで必要の無い個人情報まで要求していたこと)を挙げている
  • 01月28日、2ちゃんねるのアップローダにプレゼンテーション資料がアップされる。ACCSが確認した上では、これが初めての個人情報のネット流出

 11月11日の「緊急暫定対策版CGI」は「脆弱性がfixされている」筈の当該CGIの新ヴァージョンと何が違うのでしょうとか、どうして当事者間で話がついているのに今更逮捕されるのかとか(Псиは民事とか刑事とかに詳しくありません)、色々と疑問は尽きませんが。とりあえずはこんな経緯の様です。
 office氏の罪状は「不正アクセス禁止法違反」と「威力業務妨害」ということですが。今回のCGIの脆弱性というのは、一番最初に紹介した様な「CGIの改竄」ではなく、ローカル側で不正なパスなり値なりをPOSTするHTMLを捏造するとか、CGIにおかしな値を渡して誤作動を起こさせる、といった類のものだった様です。つまり、サーバにログインして何かを操作したわけでは無さそうなのですが・・・不正アクセス禁止法をざっと見たところ、第三条(不正アクセス行為の禁止)の2-二に該当するかどうかがポイントでしょうか。ただ、ACCS側が第五条(アクセス管理者による防御措置)を遵守していたとはとても言えない状況だったわけで、その辺りの兼ね合いになるのかもしれません。動機が「個人情報の不正入手」ではなく「脆弱性の発見」の一点張りですし。
 威力業務妨害に関しては、office氏の蒔いた種でしょう。Пси、office氏がどうしてメールで知らせる前に公表したのかがよくわかりません。もちろん、Microsoftの様に脆弱性を知らせても即急に対応しない企業があり、その後実力行使で対応を余儀なくさせるというケースはままあります。しかし、まず実力行使をしてから通知するのは、ちょっと違う気がするのです。
 いえ、それが「ACCSのサイトには脆弱性がある」と触れ回って、具体的なことは言わなかった・・・とかなら話は別です。でも、手法と同時に一部とはいえ個人情報を公開したのはいくらなんでもやりすぎです。これは4件とかの件数の問題ではありません。無作為に選ばれたのが4名だろうと16名だろうと1000名だろうと、そうして個人情報を晒されたヒトはあまりにも不幸です。最初にメールで通知をしていれば短期間の閉鎖で新ヴァージョンへの移行を検討・実行することもできたかもしれませんし、そもそも「もうお前のところの脆弱点や個人情報は教えておいてやったぜ。だから、さっさと修正しろ」というまさにジャイアンなファーストセッションはかなり勘弁です。

 この事件の判決は、おそらく様々な方面に影響を与えることになるでしょう。それに、「脆弱性の通知」というアクションに対する法的な問題・・・そこに法的な問題が発生すること自体おかしいですが・・・に、大きな指針を示すことになる筈です。
 ただ、こうした経過を見るにつけ、Псиにはやっぱりoffice氏が第一歩をあまりにも大きく踏み外した様に思えて仕方がありません。

 Псиは、この期に及んで「犯人が河合隼雄文化庁長官」の甥であることを殊更に主張しながら、「CGIを不正に改造した」と誤った報道を流している一部マスコミモモに似たピンク色のクリーチャーが視界の隅から消えなくなる類の呪いを送信します。

 

平成16年02月03日 Schwarz Stein、解体

 あー。こんばんは、Псиです。01月も終わり、年明けの慌しさも彼方へ流れ去った今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。Псиはもう駄目です
 駄目さを自覚してしまっているПсиは、年明け気分を吹き飛ばす程鬱なニュースを淡々とお伝えしようと思います。

 みなさんは「Schwarz Stein(読み方:しゅばるつしゅたいん)」をご存知でしょうか。MALICE MIZER亡き後、Mana様のプロデュースで登場した二人組のユニットがSchwarz Steinです。Mana様が加入されているユニット「Moi dix Mois」と同様、ゴシックな雰囲気と打ち込みによる激しいビートが特徴。ただ、自身がコンセプトメーカーとして活動している「Moi dix Mois」と違って、作詞や作曲にMana様が絡んでいないのがポイントでしょうか。
 Schwarz Steinは2002年07月に活動開始。07月31日にリリースされたファーストシングル「Perfect Garden」のキャッチフレーズは、この様なものでした。

アンドロギュヌスとブルータルレプリカントが創造する
近未来デジタルサウンド
絶望の愛と目眩く快楽が支配する甘い楽園の中で……

 さっぱりわかりませんがすごそうです。ちなみに「アンドロギュヌス(androgynous)」は両性具有、「ブルータル(brutal)」は「野獣の様な」「残忍な」、「レプリカント(replicant)」はアンドロイド(容姿から思考までヒトの様な人工生命体。人造人間)と置き換えれば、なんとなくイメージは掴めるかと思われます。
 ちなみに、Vo.のKayaさんはオネエ言葉を発しながら百合や薔薇を客席に投げつける素敵な姫キャラです。Key.のHoraさんはライヴで煽る時は無駄に男っぽいので、「アンドロギュノスとブルータル・レプリカント」という紹介に頷けないこともありません
 そんな宣伝文句のシングル「Perfect Garden」が大変素晴らしいアイテムだった為、ファンはこぞって次のアイテムを待ち望んでいましたが。Moi dix Moisと同様にライヴイヴェントや対バンでのライヴに参加している内に、次のアイテムを出さないまま2002年が終了。寡作が基本スタンスなのかなあと思ったところに、2003年06月にアルバム「New vogue children」、11月にシングル「Current」、そして2004年02月25日にアルバム「Artificial Hallucination」と結構な頻度でリリース。楽曲は普通に素敵ですし、キャラも普通に濃いですし、この先も順調に伸びていくと思ったのですが

 02月02日、Schwarz Steinの公式サイトに、この様な声明が発表されました。

Schwarz Stein 解体(解散)のお知らせ

2002年 7月より活動してきたSchwarz Steinですが、メンバーそれぞれの方向性の違いから2004年3月29日(Mon) Shibuya O-west のライヴをもちまして、解体(解散)することとなりましたことをお知らせいたします。

 なんと、Shwarz Steinが終わってしまいます。こんなに早く終わるとは思ってもいなかったПсиは、ただただコトバがありません。理由は「方向性の違い」ということですが・・・Horaのコメントにある「作曲活動に専念したい」というコトバの意味がとても気になります。
 デカダン、逃避、耽美、そうしたタームを鏤めながらもどこかハヤカワSFを読んでいる様な雰囲気を感じる歌詞が、そしてそんな雰囲気を必要以上に盛り立てている曲が、Псиは大好きだったのに。本当に残念です。とりあえず、02月25日に発売になる最後のアルバム「Artificial Hallucination」に思いを馳せながら、Псиはこれから暗いお部屋の片隅で膝を抱えて気分を紛らわせようと思います。

 Псиは、Schwarz Steinに祝福を送信します。

 

平成16年02月02日 黒夢、COMPLETE BOX発売

 振り返るな、振り返ると終わり。こんばんは、Псиです。みなさんは、壁に当たる度に過去を懐かしむ様な、およそのび太くん並みに後ろ暗い生活を送っているでしょうか。適度に昔を懐かしむのは良いことだと思いますが、お外で起こるあらゆるアクションを壁に感じて引きこもるのはちょっと問題です。
 そんなヒトは、基本的に安全牌ばかりのシングルズやベスト盤ではなく、コンプリートボックスに手を出してみましょう。・・・ここで、アニメDVDは全部コンプリートボックスで買っているという世間的にアレなヒトは、とりあえずシリウス星系第四惑星辺りにでも連行されるといいと思います。
 アーティストの出すコンプリートボックスは、基本的には活動を終了した後に発売される音源の詰め合わせ。アルバムを全て+α(秘蔵音源やレアトラック等)というリリース形態が殆どなので、昔ながらのファン以外は大手を振って喜ぶアイテムになります。もっとも、活動休止からかなりの時間が経っていたり、特典が豪華だったりすれば話は別で、たとえばREBECCAのコンプリートボックスなどは誰もが喜べる内容になっています。

 アーティストの変遷が一気に見えるコンプリートボックス、その中でも通しで聴けばせつなさが炸裂すること請け合いのボックスが発売されます。04月21日・・・折しもTM NETWORKのDOUBLE DECADEの日、なんと黒夢のボックスが発売されます。現在のヴィジュ界隈にも多大な影響を与えている黒夢のボックス、一体どの様な構成なのでしょうか。ちょっと見てみましょう

シングル・クリップ集DVDの特典をつけたメモリアル・ボックスで、初回生産限定盤!収録内容はライブ盤などを含むCD6枚に、シングルのクリップを収録した特典DVD付きです。収録内容は下記をごらんください。

【収録内容】
Disc-1. 『Cruel』(TOCT-10273 1994/8/31)
Disc-2. 『feminism』(TOCT-10274 1995/5/10)
Disc-3. 『FAKE STAR』(TOCT-9455 1996/5/29)
Disc-4. 『Drug TReatment』(TOCT-9910 1997/6/27)
Disc-5. 『1997 10.31 LIVE AT 新宿LOFT』(TOCT-10170 1998/1/1)
Disc-6. 『CORKSCREW』(TOCT-10275 1998/5/27)
特典:全シングル・クリップ12曲入りDVD

 ・・・全然コンプリートしていません。インディーズ時代のミニアルバム「中絶」「生きていた中絶児」とアルバム「亡骸を...」、メジャー1st「迷える百合達〜Romance of Scarlet」は最低限必須ですし、他にもコンプリートと銘打つなら各種配布シングルやメジャーで出したシングルのカップリングも網羅して欲しいところです。ええと、それは欲張りすぎだとしても、このボックスには黒夢が黒かった時代の音源が何一つ収録されていません
 また、特典の「シングルのクリップを収録したDVD」も半端です。黒夢はかつてDVDで「pictures 1」「pictures 2」というアイテムをリリースしています。これには体の良い18kヴィデオと評判の高い「Theatre of Cruel」全曲をはじめとした、シングル以外の曲も完全網羅。Пси、現在「pictures 1」を探していて、このボックスに同内容のDVDが収録されていたらボックスで妥協しようかと思っていたのですが・・・これでは買う気になりません

 そもそも、黒夢関連のアイテムは活動休止後も何かとリリースされており、はっきり言ってコンスタントに過去を振り返りすぎです。活動休止後に出たベスト盤等をおさらいしてみましょう。

アルバム名 発売日 価格 概要
EMI 1994-1998 BEST or WORST 1999年02月17日 \3,619 2枚組。SOFT DISKとHARD DISKに別れており、大概の曲は収録されている。ただしデビュー曲「for dear」は収録されていない
KUROYUME COMPLETE RARE TRACKS 1991〜1993〜インディーズ全曲集〜 2000年06月10日 \3,200 インディーズ時代のCD「中絶」「生きていた中絶児」「亡骸を...」をまとめたもの。
EMI 1994-1998 BEST or WORST 2002年01月17日 \3,619 再販版。音源としては1999年にリリースされたものと同様。
シングルズ 2002年03月27日 \2,667 シングル曲のみ収録したシングルズCD。ジャケットが全く黒夢らしくない、リリース時期が半端すぎて意味がわからない等非難轟々
コンプリート・シングルズ 2003年09月29日 \3,048 2枚組。シングル曲はもちろん、カップリングもすべて網羅したシングルズ。アイテムとしては普通に素敵ながら、前年のシングルズを買ったヒトは静かに激怒

 「ベスト盤は絶対出さない」とかつて清春は言っていましたが。いったいベスト盤を何種類出せば気が済むんですか。コンプリート・シングルズ、KUROYUME COMPLETE RARE TRACKS、そして今回のBOXで大体は網羅できそうですが、やっぱり「迷える百合達」が足りません。「feminism」がヴィジュからそれ以外の何かへの過渡期とするなら、「迷える百合達」は黒くて唸っているヒトたちからマイナー系ソングの王者への正に過渡期。メンバーが三人の頃を外したという言い訳も、「Cruel」が収録されていることで成り立ちませんし・・・とても謎なセットです。

 黒夢は、確かに後のヴィジュに影響を与えました。しかし、時代によって中味が異なる黒夢のこと、そうして多大な影響を与えたのは誰が見てもヴィジュだった頃の黒夢だと思うのです。
 今回のボックスは、確かに誰もが聴き易い曲ばかりです。最後まで黒夢を追いかけたПсиも、今回収録されているアルバムそれぞれに思い入れがあります。しかし、このボックスに「黒夢の魅力が凝縮されているか」と訊かれたら、Псиはヘドバン並みの勢いで首を横に振るでしょう
 インディーズ時代の、激しいだけの曲や唸っているだけの曲などを多分に含んだ、一般的には極めてアレな音質と構成だった楽曲たち。そこから「CORKSCREW」までを「進化」と見るか「日和った」と見るか、黒夢の面白さはそこにあると思います。思うのに

 Псиは、COMPLETEと銘打っているくせに半端な内容の黒夢BOXに、至上の呪いを送信します

 

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