◇昔のПсиニュース◇
(Псиニュースの過去ログです)

◇平成15年01月◇

01月27日:絵本「Emily the Strange」の日本語版発売
01月26日:第八版狂想曲
01月25日:Be a gothic-XV[悪夢は寝室で]
01月24日:Buck-Tick Secret Live 2003.01.24 SHIBUYA AX
01月22日:レーベルゲートCD、サーヴィス開始
01月18日:Be a gothic-XIV[眼科行きは免除]
01月12日:h.NAOTOとSHOXXのコラボレーション書籍「h.X」
01月09日:Be a gothic-XIII[思い出せ]
01月04日:Be a gothic-XII[回る歯車]
平成15年01月27日 絵本「Emily the Strange」の日本語版発売

 Псиが欲しいのは喪失感。こんばんは、Псиです。みなさんは普段、どの様な本をよく読まれるでしょうか。ライトノベルが電車の中でのお友達という方、ベストセラーにはとりあえず手を出している方、岳本野ばら先生と楠本まき先生の本がほぼ生き甲斐な方、アレな写真集やアレな原画集ばかりが部屋の床を埋め尽くしている方など、様々な方がいらっしゃることでしょう。
 Псиが最近読んでいる本は、雑誌を除けば復刻本ばかり。「風よ、龍に届いているか」をはじめとして・・・
 ・・・最近は、それしか読んでいません。本を読む時間が全く取れないПсиが、流行に押されて読もうと思っている「マリア様がみてる」を読む日は、かなり先の話になるに違いありません。その前に、どこに行ってもみつからない時点でかなり駄目ですけれど。

 さて、ハリーポッターの新作が相変わらず注目を集めていますが、だからといってファンタジー文学のブームは既に終了気味。ヒット作に牽引されて一ジャンルにブームが訪れる、というのはよくある話ですが、次がなければブームはすぐに終わります。そんな中、ブームと言われ続けて終わらない、しかしヒット作を誰も言えないジャンルがあります。そのジャンルこそ絵本です。
 絵本に登場するキャラクタは商売になりやすいのか、こげぱんすしあざらしなどがヒット。可愛いキャラクタと少々アレな設定に、ヒトは癒しを感じるのでしょうか。Псиはヒトじゃないのでなげやりです。

 そんな、ヒトじゃないПсиの大好きな絵本のキャラクタがEmilyです。Emilyは、CosmicDebrisというアーティスト・チームが創作したキャラクタ。「Emily the Strange」という絵本に登場するEmilyは、シニカルさと辛気臭さの権化の様な存在。その少ない線で存在感を強調しているタッチも受けて、出身のアメリカはもちろん、国境を越えてヒットしました。

 その「Emily the Strange」は翻訳されておらず、日本で読むには英語版を入手するしかありませんでした。しかし、2月28日に、この「Emily the Strange」の日本語版が発売されるというのです。・・・日本語版の出版自体は普通に嬉しいことですが、あの独特のブラックユーモアや微妙な語感がロード・オブ・ザ・リング並みの不思議訳になっていたらと思うと、ちょっぴり不安です。
 ですが、Псиは今回の訳者の人選を見て、良くも悪くも期待感でいっぱいになりました。この方が訳したEmilyなら、Псиはとりあえず読んでみたいです。Псиがそうまで期待を持つ訳者さん、一体どなたなのかというと・・・

歌手、宇多田ヒカル(20)が、絵本「エメリー・ザ・ストレンジ ちょっと変な女の子」(メディアファクトリー、税別1000円)で翻訳初挑戦

 あの素敵文体の猛者宇多田ヒカルさん!英語が判ることと素敵な訳ができることは違いますが、絵本の様に語彙の少ないものであれば話は別でしょう。また、表現力に関してもとんでもない規模で折り紙付きですから、素直に期待できるところです(上記テキストのソース)。
 この「エメリー・ザ・ストレンジ」は予約が殺到しているそうで、既に1万部の予約があるそうです。それを受けて、発売元のメディア・ファクトリーは初版の発行部数を20万部とかなり大きく出ました。宇多田人気なのか、それともEmily自体の人気なのかはわかりません。・・・たぶん前者でしょうけどね。

 ともあれ、Псиは普通にこの絵本が楽しみです。価格も1,000円と手頃ですし、なにより仮想原宿にできたEmilyグッズ専門店「Emily's HIDEOUT TOKYO」に行ってからというもの、Emily熱が順調に上昇中。予約はしないまでも、発売日に買っていることは確かでしょう。

 Псиは、ゴシック好きにとっての新しい定番となりつつあるEmilyに、無表情の祝福を送信します。

 

平成15年01月26日 第八版狂想曲

 Псиは、このカードにすべてを賭けます!こんばんは、Псиです。Псиはヴィジュ好きという世間的には極めてアレな属性の他に、TCG(Trading Card Game)好きというやっぱり世間的には白い目必至の属性を所有しています。
 TCGの中でもПсиが大好きなのは、冒頭ワードの元ネタ「遊戯王」・・・では当然無く、プレイ人口や規模としては世界レヴェルで最強無比の「Magic the Gathering(以下、M:tG)」です。M:tGの特徴は色々とありますが、突き詰めるとシンプルながらも奥の深いゲーム性、デッキ構築の選択肢の広さ、そして二年経つとどれだけ高価なカードも価値が暴落する無慈悲さ等、様々な魅力に溢れているのです。最後のは気にしない方が良いです

 さて、日本語版が発売された初のエキスパンション「MIRAGE」と、その次の大型エキスパンション「TEMPEST」のシリーズが終わったとほぼ同時にMagic自体から足を洗ったという方は、結構多いのではないでしょうか。
 その後、M:tGはゲームシステムを整理、俗に「第六版ルール」と言われるスタック制の導入などによって見かけ上復帰の敷居が上昇。また、ゲームシステム自体もファッティで殴り合う長期戦を想定する様なデザインに変わっていることなどは、そうした方にとっては借りてから特に見もせずに10日程放っておいたレンタルヴィデオの延滞金並みに、寝耳に水の話かもしれません。
 延滞料金で言うならば、10日程度じゃなく30日程度に底上げできる程のショックなお話をひとつ。第七版のIN/OUTリストを見てください。そうすると、《ハルマゲドン/Armageddon》や《十字軍/Crusade》、《恐怖/Terror》、《ジョークルホープス/Jokulhaups》などが既にこの世に無いことがわかります。また、その前の第六版では《暗黒の儀式/Dark Ritual》や《火の玉/Fireball》が絶版に。エキスパンションにはこれらの代替カードが収録されていますが、それらは強力な代わりにコストが高く設定されており、かつての高速展開が肌に馴染んだヒトには少々酷かもしれません。

 基本セットは、2年に一度発売になります。その時、主にレギュレーション落ちしたカードから優れたカードが基本セットに収録され、カードの寿命を伸ばすことになります。そして、次期基本セットである第八版の発売は7月28日ですが・・・それに先駆けて、ショッキングな情報が多々舞い込んでいます。今日は、第八版での変更点に触れることで、旧デュエリストの呆然とした表情を観察したいと思います。


カードデザインの変更

 第八版での一番大きな変更点は、カードデザインの変更でしょう。Urza's Legacyから導入された箔押しカード、Odesseyブロックで導入された墓アイコンの他には、カードデザインに大きな変化はありませんでした。
 しかし、Magic10周年を記念し、カードデザインを大幅に変更するのだそうです。どう変更されたかは、サイドボード日本語版の第8版の秘密を暴くという記事を参照してください。併せて、カードデザイン変更に関する質問集もどうぞ。

 ・・・御覧になりましたでしょうか?Псиが最初にこのデザインを見た時は、どこのモンスターコレクションかと絶句してしまいました。

10年もの間ステータスだったものから変化するのは正直言って怖い。でも今回のデザインはそれほどかけ離れたものではない。すこしシャープになり、見栄えがよくなっただけだ。ジェレミー・クランフォード曰く「塗りは変わっても同じコルベットさ。」

6ヶ月後には、「なぜ以前はこうじゃなかったんだろう?」なんてことを思うような変化になるだろう。

 ・・・こうしてカードを写真で見て感じる程の違和感は、実物ではそうまで感じられないということなのでしょうか。とてもそんなことはあり得ないと思いますけれど。
 新しいデザイン自体にはその内慣れるでしょうけれど、新旧のカードを混ぜたデッキに慣れる日は、そんなに早く訪れるものなのでしょうか。


投票による収録カードの決定

 第八版のカードを選定するに際して、似通ったデザインのカードを2つ提示し、どちらを収録して欲しいか投票によって決定する、という方法が採られました。もちろん、全てのカードがこの方法で収録が決まったわけではありませんから、これでわかる第八版の姿は微々たるものです。
 しかし、《血染めの月/Blood Moon(CH)》や《抹消/Obliterate(IN)》(2マナ重い代わりに打ち消せない《ジョークルホープス/Jokulhaups》)、《栄光の頌歌/Glorious Anthem(UZ)》(1マナ重い代わりに自分のコントロールするクリーチャすべてが+1/+1される《十字軍/Crusade》)などが帰ってくるとなれば、期待も持てるところです。

 また、絵に関しても投票が行われました。《テレパシー/Telepathy》は第七版ではなくUrza's Sagaの、そして《慈悲の天使/Angel of Mercy》はInvasionではなくPortal Second Ageのイラストが使用されることになった様です。第七版では大幅なイラスト変更が行われましたが、新イラストがだいぶアレな絵もちらほら。こうして、昔の絵の方が素敵であることを主張出来る機会がある、ということはとても良いことだと思います。イラストレーターは浮かばれませんが
 あと、圧巻は基本地形のイラスト投票でしょう。これについては、見た時の印象がすべてなので、コメントは無しです。

 そうした投票の結果がこちらです。上から順に見ていくと、その内不思議な記述を見つける筈です。それは・・・


《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》、ついにOUT

 緑デッキの一手目の最有力候補である《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》は投票で敗れた為、第八版には収録されません。この投票について、詳しく見てみましょう。
 このページを見ると、どうやら発端は、《極楽鳥/Birds of Paradise》を糾弾する、こんなメッセージだった様です。

Since Magic players are allowed to participate in the 'Spend Your Summer Selecting Eighth Edition' program, I think it's ok to tell us whether Birds of Paradise will be reprinted or not. Rumors and speculations have run rampant throughout the 'Net with complete uncertainty and confusion for quite a long while. A reliable source of information and official confirmation from R&D is desperately needed. Thank you for your time and attention

 大変簡単に要約すると、「《極楽鳥/Birds of Paradise》はどうなるのか、さっさと決めろ。むしろ、決めさせろ」ということでしょうか(乱暴すぎます)。そこで、WotCは1マナのマナソースクリーチャである《極楽鳥/Birds of Paradise》と《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》のどちらかを第八版で削ることを決定。ただし、削ったクリーチャの代替カードを収録することにしました。
 《極楽鳥/Birds of Paradise》の代替カードは《ユートピアの木/Utopia Tree(IN)》。1マナ高い、飛んでいない0/2クリーチャです。一方、《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》の代わりは《ぶどう棚/Vine Trellis(MM)》。エルフよりもコストが1マナ高い、0/4の壁クリーチャです。代替クリーチャに関しては、比較したクリーチャと全く同じマナ生産能力を持っています。
 結局、《極楽鳥/Birds of Paradise》+《ぶどう棚/Vine Trellis(MM)》対《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》+《ユートピアの木/Utopia Tree(IN)》の対決は、《極楽鳥/Birds of Paradise》+《ぶどう棚/Vine Trellis(MM)》の勝利に終わったのでした。これは、《ぶどう棚/Vine Trellis(MM)》のチカラによるところが大きいと思いますけれど。

 かくして、最古参のクリーチャにして永遠の定番が、また一体消えてしまいました。こうして過程をみれば頷けなくもありませんが、結果だけ聞くと延滞90日分くらいのショックは受けて頂けるに違いありません。


 如何でしょうか?とりあえず、Псиはこれだけでもおなかいっぱいです。第四版や第五版でM:tGに別れを告げていた方は、今回の第八版を見てM:tGが随分遠くへ行ってしまったと思われるかもしれません。・・・実際、遠くへ行っているのですけれど、Псиは第八版がそうした方が古巣に戻るチャンスだと思っています。
 現在のM:tGには、「あの頃」の様なスピードも爆発力もありませんし、ルールの隙間を縫ってとんでもないコンボが登場することも滅多にありません。カードデザインの変更を機に、昔プレイしたのと似た様なゲームと考え直しつつカムバックを果たしてみては如何でしょうか。

 Псиは、そんなことを言っても戻って来られる方は皆無だろうなあと状況を悲観しているのと同時に、慣れる慣れない以前に、新しいデザインの実物が見たい今日この頃です。

 

平成15年01月25日 Be a gothic-IV[悪夢は寝室で]

 というわけで土曜日恒例の「Be a gothic」、今日は第十五回です。Псиがやすらかな休息を過ごすべき週末に無駄に緊迫感を高め、さらにはПсиの財政も圧迫し続けているこのコーナーも、遂に回数が平成の年数に追い着いてしまいました。だからといって特別なことはしませんが、とりあえず今度は西暦の年数に追いつけるくらいに頑張ろうと思います。もしも「大風呂敷すぎる」と思ったヒトには、結果が常に予測の6cm上を行く様になる類いの呪いを送信します。微妙さが卑怯
 「Be a gothic」では、最近のヴィジュ系バンドを名前しか知らないПсиがヴィジュ系アイテムをレビュー、雑誌やWebのテキストのみをアイテム購入基準としている古式ゆかしいファンの選択を微妙に狂わせるコーナーです。
 なお、ここでのレビューはПсиの価値観に基づいておりますので、迂闊に丸飲みすると咽を火傷する可能性があります。水を飲むと更に悪化

 さて、みなさんはヴィジュ系ショップに行ったことがあるでしょうか。ここで言う「ヴィジュ系ショップ」というのは、新星堂の「VISUALIZED SHOCK」のコーナー等は指しません。体裁的には中古CDショップでありながら、並んでいるのはインディーズのバンドのデモテープやCD、そして法外な値札のアイテムの数々。昔ながらの呼び方をすれば「貴重盤専門店」という類いのショップですね。
 こういったショップは、一般のヒトが運悪く迷い込んだ場合、「ちょっとアレな中古ショップ」で話が終わってしまいます。しかし、ヴィジュ属性のヒトがこの手のショップに入った場合、平気で一日は潰せる素敵な場所に早変わり。一般のヒトには「花やしき」でも、判るヒトには「としまえん」といった感じでしょうか。余計判りません

 昔ながらのショップは床にCDやレコードが崩れ、壁や天上に所狭しと貴重アイテムが貼り付けられている上、内装は既にぼろぼろという間違ったアンティークショップの様な佇まいのことが殆ど。最近のショップだと、小奇麗で入り易いながらも入り口周囲がなんとなく異世界という、つまりはどっちにしろ異界なのがヴィジュ系ショップです。
 ヴィジュのアイテムを扱っているのですから、もちろんリリース情報は早く伝達されますし、予約限定のBOXや通販限定のアイテムが平積みされていることもしばしば。大概は中古ショップを内包している為、八方美人なファンの財政危機をゆるやかに先延ばししてくれます。FOOL'S MATEの後ろの方に宣伝を載せている、Photoshopのフィルタにすべてを頼った様なバンドのデモテープが欲しくなった場合は、まずはこうしたショップへアクセスするのが良いでしょう。有名なショップといえば、仮想新宿の「ライカエジソン」、そして仮想目黒は鹿鳴館のすぐ近くの「サードステージ」等ですね。仮想東京に気軽にいらっしゃれない方に関しては・・・ええと、ごめんなさい

 さて、今日はПсиが前々から名前を聴いていて、とても気になっていたにも関らず行ける範囲のヴィジュショップで全滅だった「ナイトメア」(読み方:ないとめあ)のミニアルバム「アウトロー」を取り上げようと思います。
 「アウトロー」は6曲入りで\2,500、5000枚限定で発売されていた様です。もちろん、それらの情報は買った後に知りました。ナイトメアのアイテムを捜し回って、仮想渋谷TOWER RECORDSで埋もれていたのを発掘したら、なんだか新しいアイテムだった上に限定ものだったという棚からぼたもち方式だったのでした。
 最近よく名前は聞きますが、名前と何かの雑誌に掲載されていた集合写真以上の情報はПсиにはありません。ですので、このアイテムをじっと見詰めてみることにします。帯やライナーは光沢入りで大変豪華なつくりになっているのですが・・・帯にはこんな文が。

ゾジ夫のくせにモッコリしやがって
         生意気なんだよ (豪田 剛)

 ・・・はあ。というか、「豪田 剛」ってジャイアン(©藤子F不二雄)ですか?そう思ってパッケージを裏返してみると、

  • dogma
  • ビルドゥングス・ロマン
  • ジャイアニズム惨
  • 最遊期
  • 真実の花
  • star[K]night

 三曲目はなんですか。そう思ってglass threadさんの資料を参考にさせて頂いたところ、どうやら過去の音源に「ジャイアニズム」「ジャイアニズム痛」が存在する様です。・・・ええと
 余談ながら、アイテムに関しては殆どが枚数限定だったんですね。見つからないわけです。

 さて、それではそろそろCDを聴いてみましょう。ちょっと不安になってきました(Псиは、トンデモ的に笑われるだけのバンドを祝福しません)が、他のタイトルを見る限りではこの「ジャイアニズム惨」も、ジャイアニズムをムック的に見た唄なのに違いありません。なぜムックかは訊かないで下さいおねがいですから


 アウトロー[ナイトメア]
 総合 :☆☆☆**
 楽曲 :☆☆☆**
 映像 :(判定不能)
 ネタ度:*****

 ついに来ました。「良いとは思うけど何故かコトバに詰まる」というアイテムが、ついに来ました。いえ、速い曲もゆっくりな曲もあって構成的にはすごくバランスが取れてますし、何よりどの曲も大変にメロディアス。ダークめ路線というよりもなんとなくPierrotを思い出す1曲目から、切なさ疾走系のラストまで、絶対に退屈はしません。
 でも・・・Псиと波長が合わないだけなのでしょうか。たとえば、1曲目は謎の曲調変化などのПсиが大好きなトリッキー要素を含んでいたりと、Псиが好きになれそうな要素はたくさん詰まっているのに。なぜか「ナイトメアを追い掛けよう」とは思えないのです。
 何故だろうと考えた時に、なぜか頭に「蜉蝣」と「バロック」が浮かんだのですが。たぶん、蜉蝣やバロックはどれかのアイテムに触れれば好みが完璧に判明すると思うのですが、ナイトメアはアイテムに数触れることで魅力を見出して行くバンドなのだと思うのです。「アウトロー」は、良く言えばバラエティに富んだアイテムですし、悪く言えば手を拡げ過ぎてどこにメインがあるのか判らないアイテム・・・だと思います。楽曲は文句なしに素敵ですけれどね。
 ちなみに、問題の「ジャイアニズム惨」ですが。歌詞を見てみましょうか。

荒れ果てた土地花咲かす
そう思う人己のみ
傍から見れば迷惑よ
早く気付いてくださいな

阿々 君の視線は空の向こう
遥か彼方を夢みてる
そう それでいいのだよ
君の惨めな一人舞台

ファズのような声吐き出して 悠々闊歩 歩きます
誰であろうとなぎ倒す
相手の痛み知りなさい

阿々 爆進してよ我が道を
君はそれゆえ君なのさ
否、祇園精舎の鐘は鳴り
盛者必衰これ然り

 ・・・ジャイアニズムというよりは、ジャイアン観察レポートな気がしますけど・・・それとも、以前の「ジャイアニズム」でそれらのアプローチを採っているため、今回はたまたまこうだっただけなのでしょうか。ちょっとわかりません。

 もしかしたら、Псиが「アウトロー」を酷評している様に見えるかもしれませんが、そういうわけではありません。純粋に楽曲の質と作品の質は別という話です。もしかしたら、ナイトメアはライヴが楽しいバンドかもしれません。楽曲を聴いていると、とてもそんな気がしてならないのです。
 ライヴヴィデオとか、安いライヴとかがあったら、Псиはそちらに積極的に手を出してみたいと思います。音源は・・・微妙、ですね

 Псиは、ナイトメアを観察対象に留めて順調に見守って行くのと同時に、HIDEの1stアルバム「PSYCOMMUNITY」の初回版が今でも\8,800辺りが底値の貴重盤専門店の極めてアレな雰囲気に、黄昏時のアンニュイな祝福を送信します。

 

平成15年01月24日 Buck-Tick Secret Live 2003.01.24 SHIBUYA AX

 クジ運は悪かった筈なのに。こんばんは、Псиです。Псиはヒトの世界でヒトと似た様な生活をしていますから、往々にして「運」に左右される類いの事象に振り回されることがあります。
 もっとも、曲がりなりにも天使のПсиは、「運」の為に願掛けをする様なことはありません。ただ、偶然と確率の悪戯に溜め息を吐くだけです。・・・そうは言いながらも、駅ビルの福引でティッシュばかり6つも持って帰る様な時は、さすがに溜め息だけでは済みませんけれど。

 さて、そんな暗い年末の1シーンを振り返っている間に、Buck-Tickのシングル「残骸」はとんでもないことになっている様です。8年前のシングル「鼓動」以来のオリコン入り、購入特典のシークレットライヴの申し込みには初日から応募者が殺到、そして音楽好きのココロの拠り所である「JAPAN COUNT DOWN」「CDTV」という土曜深夜(首都圏以外はごめんなさい)のチャート番組で4位を記録・・・なんだか怖くなるくらいの盛り上がりぶりです。
 今、ちょっと話に出した「シークレットライヴ」ですが、CDを購入すると「1月24日、都内某所でシークレットライヴを開催」という旨の告知が書かれたペーパーが入っていました。そのペーパーにはIDナンバーが振ってあり、PCや携帯で特設サイトにアクセス、そのIDナンバーと個人情報を書いておくと、シークレットライヴのチケットを購入できる権利が抽選で当たる仕組みになっていました。
 ・・・この告知を知った時、招待じゃなくて購入権ですかと些か冷ややかな思いが頭を過ったのは、永遠の内緒です。ちなみに、先日お話した「レーベルゲートCD」のPIDを使えば、この辺りが自動化されるのでしょうけれど、それはまた別のお話です。
 とりあえず、外れても壁紙が貰えるらしいので、駄目もとで応募してみることにしました。Псиは購入の出足も遅れてしまったので、既に申し込みが殺到していることは知っていました。ですから、テストの日ののび太くん並みのやる気の無さを発揮して、〆切前日にのろのろと申し込みました。
 しかし。数日後、Псиに届いた一通のメールは、Псиをとても驚愕させたのでした。

Subject: BUCK-TICK Secret Live当選のお知らせ

当選おめでとうございます
以下の内容で当選が決定いたしました。
「BUCK-TICK Secret Live」
2003年1月24日(金)7:00PM開演
都内某所
チケット/5250円(税込)1枚
※ご当選された席に関する変更は出来ません。

 あたった・・・の?この後には、ただ淡々と支払い方法が書かれていました。当選してもライヴ会場は「都内某所」のままというのもかなりアレでしたが、信じられない気持ちのまま、Псиは最寄りの仮想コンビニでチケットを無事引き換え。・・・悪戯メールでなかったことは、手元に残ったチケットと、5250円分の重みを失ったお財布が物語っていました。無理に叙情的にしなくても
 というわけで、今日はシークレットライヴの模様をお伝えします。ファンの方はセットリストで満足して下さい。ちょっとだけファンの方は、適当に読んで下さい。全然興味の無い方は、お逝きなさい(©高橋ツトム)


 そんなわけで迎えた今日、チケットに書かれた会場は「SHIBUYA AX」でした。渋谷のライヴ会場の大半は、名前に反して原宿の方が近い為、Псиは仮想原宿駅で下車。とぼとぼとAXまでの道を歩きます。
 駅を降りるとダフィーがたくさん。シークレットでまでダフィーがいるのか、と思ったら、どうやら代々木第一体育館辺りでプロレスの興業があるらしく、そちらのダフィーでした。ちょっと歩くと「プロレスのチケット買います」と書いたボール紙を持った女性を発見。どの界隈も一緒の様です。


 開場は18:00でしたが、Псиが到着したのは18:30過ぎ。1階席ながらもかなり後ろの方でしたが、見ることができるだけ幸福なことです。19:00開演なのでBuck-Tick時間では19:30開演と認識していましたが、始まったのは19:20。ライヴハウスなので気合いが入っていたのか、それともSEの逆再生ヴォイス&ノイズ&断片的オーケストレーション&ピアノの不協和音という、いろいろと感想はありつつも胎教には絶対良くない類いの音源に袖でメンバーがうんざりして開始が早まったのかは定かではありませんが。
 照明が消えた後の諸々を書く前に、まずはセットリストを見てみましょう。

No.曲名収録音源/MC時のコトバ
0THEME OF B-TAlbum「HURRY UP MODE(REMASTER版)」
1残骸Single「残骸」
2ヒロインAlbum「SEXY STREAM LINER」
-MC盛り上がっちゃってくれよ〜!
「・・・何の日か判ってるでしょう?」
「選ばれし者達よ!」
3ICONOCLASMAlbum「殺シノ調ベ」
4惡の華Album「殺シノ調ベ」
5HURRY UP MODEAlbum「HURRY UP MODE」
6スピードAlbum「殺シノ調ベ」
-MC調子はどうだい?
「・・・もう疲れたか」
「でもそうはいかないんだ!
7baby,I want youAlbum「ONE LIFE, ONE DEATH」
8RHAPSODYAlbum「ONE LIFE, ONE DEATH」
-MC「ちょっと・・・熱を冷まそうか」
9ミウSingle「ミウ」
-MC「みんな、抽選に当たって、おめでとうございます
今後ともよろしく
「次は、みんなが聴きたい曲を」
10GIRLSingle「残骸」
11MY FUCKIN' VALENTINEAlbum「SEXY STREAM LINER」
12TO-SEARCHSingle「JUST ONE MORE KISS」
13Album「Six/Nine」
-MC(聞き取り不能)
14極東より愛を込めてAlbum「極東 I Love You」
-MC「ラスト!」
「みんな、U-TAのために歌ってくれ!」
15LOVE MEAlbum「殺シノ調ベ」
EN1-121st CENTURY BOYAlbum「極東 I Love You」
EN1-2Ash-raAlbum「COSMOS」
EN2-1SEXUAL XXXX!Album「SEXUAL XXXX!」
EN2-2...IN HEAVEN...Album「殺シノ調ベ」

 ・・・MCのアレさに関しては感動したドラマやアニメの脚本集を見て感じる痛さと同様ですので、とりあえずは置いて下さい。応ぜねば訴訟(©藤子A)
 2月にアルバム「MONA-LISA Over Drive」が発売になることから、アルバム全曲一斉公開とかだったら凄いなあ、などと思っていましたが。シングル「残骸」収録の楽曲2曲以外は新曲は一切無しでした。
 また、収録アルバムのばらつき(「殺シノ調ベ」は92年に発売された、新作的ベスト盤(全曲新曲&リアレンジ))から見ても、そして演奏タイトルを見てもわかる通り、最近のBuck-Tickの定番を集めたライヴといえます。たまに間に入っている「TO-SEARCH」とかが何気にアレですが、とても初心者向け・・・というか、主軸となるアルバムもなく、とにかくBuck-Tickのライヴをしろ、といわれたら真先に考えられ得る選曲でした。
 ともあれ、最初から最後まで盛り上がり必至の選曲に、会場は大盛り上がり。熱狂のままライヴは終了したのでした。

 そういえば、「LOVE ME」前のMCと、本編終了後にアンコールの声に消されながらも細々と頑張っていた「HAPPY BIRTH DAY」から、ベースのU-TAさんの誕生日が今日(もしくは付近)であることを初めて知りました。調べてみると、どうやら誕生日は今日だった様です。・・・U-TAさん、おめでとうございます(遅すぎます)
 そんなU-TAさんは、客席の「HAPPY BIRTH DAY」の大合唱の中、ひとりだけステージに登場。中央マイクで「ありがとう」と一言だけ言って、さっさと自分の定位置へ行ってしまいました。そしてライヴ終了時、両手いっぱいにピックを持ち、客席に向かって力士が塩を降るごとくピックをばらまいていたU-TAさんが、Псиは大好きです。一番かどうかは別にして


 というわけで、新しいアルバムについては一切判らないままでしたが、それでも素敵なライヴだったことには変わりありません。
 昨年末の武道館公演「THE DAY IN QUESTION」の最後に「来年も遊びましょう!」と言う櫻井さんのコトバから早一ヶ月、こんなに早く遊べる日が来るとは思いませんでした。ともあれ、Псиは2月のアルバムが気になって仕方がありません。

 Псиは、Buck-Tickのアウトプットとその活動に、ココロからの祝福を送るとともに、今回の当選に悪乗りして宝くじの購入計画を立てようと思います。

 

平成15年01月22日 レーベルゲートCD、サーヴィス開始

 最近購入のCD&DVDがヴィジュばかりで、なんとなく気が滅入っているПсиです。こんばんは。音楽に関しては、Псиは基本的に雑食。ПсиはCDやDVDを48枚入りCDファイルで管理していますが、中を見るとムックのアルバム「葬ラ謳」と宇多田ヒカルの「UH3+」が同居していたりと、混沌の極みです。
 そんなПсиも、最近はとみにインディーズのCDを購入することが多いです。理由は簡単、ヴィジュ界隈で今も昔も常にアクティヴな場所といえば、それはインディーズを指すからです。モンゴル800は関係ありません

 ですが、ПсиがメジャーのCDを買わない理由が、期せずしてもうひとつ増えてしまいそうなのです。Псиは、本日発売の陰陽座のアルバム「鳳翼麟瞳」が欲しくてたまりません。でも、ПсиはこのCDを買うのを躊躇しています。・・・お金はなんとかなります。ショップにも、限定版が普通に置いてあります。なのに、どうしてПсиは買わないのでしょうか。理由は簡単、「鳳翼麟瞳」はCDSを採用したCCCDだからです。
 Псиは、気に入ったCDをいつも持ち歩きます。MDシステムを持っていないわけではありませんが、出先にデヴァイスがあると期待できるのは、どう考えてもCDの方。しかも、PCに備え付けのCD-ROMドライブでの再生も充分に考えられる為、CCCDは何かと都合が悪いのです。

 CCCDや、その方式であるCDSについては、みなさんももうご存知かもしれません。簡単に説明すると、CCCDとはPCでの保存や複製が出来ない様に特殊な加工が施されたCDの総称、CDSはMIDBAR Tech社が開発したコピーコントロールの方式です。avexを皮切りに、東芝EMIやビクターなどのレコード会社も、CDSを採用したCCCDで音源を提供し始めています。CDSについては以前取り上げたので、お手数ですがそちらを御参照下さい。
 さて、長いネタ振りになりましたが、今日はCCCDのお話です。SME(SONY Music Entertainment)は、本日付でネット認証付きCCCD「レーベルゲートCD」の販売とサーヴィスを開始しました。対象になるのは、邦楽のCDで12cm盤を用いたCD全種。本日発売のCrystal KayやRIZE、推定少女の新譜は、「レーベルゲートCD」として提供されることになります。今日は、この「レーベルゲートCD」について見てみましょう。

 まず、「レーベルゲートCD」とはどの用な方式でしょうか。公式ページを見ると、こんな構成になっている様です。

  • ファーストセッションエリア・・・CDプレーヤ等で再生する為のデータを収録。コピーコントロール(CDSに準じた方式)が施されている為、PCや一部機器での再生不可。
  • セカンドセッションエリア・・・PC用の圧縮音源を収録。圧縮方式はATRAC3。HDDに音楽データをDLでき、そのデータは専用ソフト「MAGIQLIP」で再生できる。HDDに複製する際、ネット上で認証が必要となり、複製の回数に応じて料金が発生(初回は無料、二回目以降は一回200円)。
  • PID(Postscribed ID)・・・各CDメディアに固有のシリアルナンバー。ユーザが意図的に読み取ることはできない。

 ポイントは、PIDを用いたネット認証により、課金によってHDDにコピーできるという仕組みです。ATRAC3は元々MDで使われている圧縮方式「ATRAC」を進化させたもので、音質面ではかなり評判が良いことで知られています。ただし、当然ながらOgg Vorbisの様なオープンソースの方式ではない為、再生できる環境が限定されるという難点があります。
 また、レーベルゲートCDでは、数曲入っているCDから1曲だけを認証する、ということはできません。たとえば1曲目以外は全て捨て曲の3曲入りCDシングルの場合、たとえ1曲だけを複製したくても、認証料200円*3曲の600円を負担しなくてはなりません。
 ただ、Псиが一番気になったHDDの複製データを更に複製は可能なのかについては、ちょっとわかりません。プレーヤーであるMAGIQLIPがデータを完全に抱え込んでしまうのかもしれませんし、あるいはローカルのMAGIQLIPと何らかの鍵を共有し、他のプレイヤでは再生できない様にしてしまうのかもしれません。

 レーベルゲートCDについて、SMEの広報の方はこんな風に話しています。

従来のCCCDが果たしていない部分(PCに複製して音楽を楽しむこと)を何とかしたかった。レーベルゲートCDでは、そういった部分(コピーできる部分)のセキュアな音源ライブラリの構築をユーザーにしていただきたいと考えている

 考え方は間違えていないと思います。むしろ、CCCDの方式に関してはCDSに決め打ちせず、状況に応じて方式を変化できる様にした、という柔軟性は評価できるでしょう。・・・もっとも、どうしてSMEの取り扱う輸入版で用いられているKey2audioを使わないのか、Псиにはさっぱりわかりませんけれど。
 もっとも、「レーベルゲートCD」が本当にユーザに歩み寄った結果なのかは、正直怪しいところです。次の記事を見てみましょう。

 実際、レーベルゲートCDでは、パソコンへの複製が無料なのは1度だけだが、いったんパソコンのハードディスクに複製した楽曲は、NetMDやメモリースティックウォークマンなどのOpenMG対応機器に3回まで複製(チェックアウト)できる。OpenMG対応機器では、複製した楽曲をコピー元(ハードディスク)に返す(チェックイン)こともでき、そうすることで、複製回数は元に戻る。つまり、常に最大3台のOpenMG対応機器に複製を行って楽しむことができるわけである。

 ・・・この記事を読む限り、SONYによる囲い込みにしか見えません。レーベルゲートCDでDLした音楽データの友好的な利用法としてOpenMGをちらつかせ、新規メーカーの参入と、対応商品の販売→それに伴うライセンス料の回収・・・ちょっと邪推気味ですけれど、世界のSONYが立てるシナリオとしては悪くないと思います。
 そもそも、複製ができるからといって、一部のCD再生機器で不具合が起こることには何ら変わりはありません。CDとしての最低限の部分も放棄している状態では、代替措置としての複製も後付けにしか見えないのですけれど・・・。

 レーベルゲートCDを意識したのか、CDSも最近HDDに1度だけ楽曲を複製できるCDS 300という新しいヴァージョンを発表しました。現状、多くのレコード会社がCDS 200を採用しているわけですが、現状維持か、それともCDS 300やレーベルゲートCDを採用するのか、CDSから完全に手を切るか、これからの対応に注目したいところです。というより、健全な消費者として注目せざるを得ません
 Псиの欲しいCDの多くは、なぜかCCCDの影響を受けずにいました。今の今までПсиが購入したCDでCCCDだったものといえば、仮面ライダー龍騎 CDブックだけです。別にCCCDを嫌って選択外にしていたわけではないのに。・・・そんな状況だった為、CCCDはПсиにとって少し離れた世界のお話でした。
 しかし、遂にそうも言っていられなくなってきました。冒頭で挙げた陰陽座をはじめ、Псиの好きなアーティストのCDが続々とCCCD化されています。CCCD化自体は仕方が無いのかもしれません。しかし、CD-DAの規格をいたずらに無視し、デヴァイスに悪影響すら及ぼすおそれのあるCDSを使っているメディアを、Псиはちょっと買う気になれません。

 Псиは、CDSに面ぶれで徐々に耳が破壊されていく類いの呪いを送信するとともに、ラインナップの中でひときわ異彩を放つ、ただでさえ売れないでしょうに、CCCDになった所為で余計に売れなさそうな「アセレヘ〜恋のケチャップソング」のカヴァー曲黙祷くらいは捧げておきます

 

平成15年01月18日 Be a gothic-XIV[眼科行きは免除]

 というわけで土曜日恒例の「Be a gothic」、今日は第十四回です。急に思い立って「14」でGoogle検索を行ってみました。・・・1位が某ネカマアイドルさん(永遠の14歳)、2位が某半なまAA描きさん(14歳・可変)でした。このお二人を御存知無い方、世間的には大変正常です。大変正常ですので、もれなく世間的にアレなものを大プッシュしたくなってしまう類いの呪いを送信します。今更「すしあざらし」とか
 「Be a gothic」では、太古のヴィジュを愛しつつもアレな価値観を否定し続けているПсиが最近のヴィジュのアイテムをレビュー、同じくヴィジュから遠ざかっているヒトの価値観を眼科行き確定になるくらいに悪化させるコーナーです。
 なお、ここでのレビューはПсиの価値観に基づくものなので、迂闊に鵜呑みにすると咽を火傷するおそれがあります。病院へは自分の足で

 さて、ヴィジュの界隈に身を置くヒトの不満として、昔も今も変わらないものにアイテムのコストパフォーマンスの悪さがあります。どれだけ高かろうが、曲が良ければそれで良いとは思います。ただ、だからといってシングル2曲で2,000円とか5曲入りミニアルバムが3,200円などの価格設定を見ると、ちょっと手を伸ばし辛いところです。
 その価格:曲の対比の悪さが如実に表われるのがヴィデオ作品です。ヴィジュ系のバンドは全部が全部クリップ集を出しているわけではなく、むしろどういう意図なのかクリップや明らかに撮っているライヴ映像を抱え込むバンドも少なくはありません。しかも、運良く発売されたとしても2曲で3,000円などの価格を見ると余計に手が出ません。
 かつて、Deshablliz(読み方:でざびえ)というバンドがいました。猟奇系で名を馳せ、更にはアルバムに元黒夢の臣が参加したりと話題性も豊富。そんなDeshabllizは映像にチカラを入れており、「道化師カラ届イタ奇妙ナ招待状」というヴィデオ四部作を発表し、話題になりました。この四部作、それぞれが3,000本限定生産(シリアルNo.付)とファンのココロをくすぐりつつも2曲で3,090円(税込)というヴィジュ少女の経済基盤を破壊し尽くす素敵な展開でした。しかも、それが四ヶ月毎月続くとなれば、悲しみもひとしおです。
 あとは、SHAZNAのヴィデオ限定版商法でしょうか。ヴィジュの凶悪パッケージ商法についてはその内改めてお話しますけれど、4曲入りのヴィデオをステーショナリー等の謎グッズを詰め込んだLDサイズのBOXに詰め込んで、お値段がなんと10,000円日本文化センターもびっくりです。
 現在は価格も適正レヴェルに保たれている様ですし、何よりインディーズだからといって撮影機材が安過ぎて見れたものじゃないクリップも少なくなっています。・・・例外はありますけれど

 さて、今回はヴィデオ作品を見てみようと思います。昨年から気になっていた「蜉蝣」(読み方:かげろう)のヴィデオ作品、「蜉蝣のビデオクリップ」です。・・・タイトルがストレートすぎて、いきなりアレな感じを醸し出しています。
 この作品、ヴィデオとDVDの両方で発売されており、しかも両方で特典が異なります。。DVDには映像特典が、そして限定5,000本のヴィデオは初の写真集「隆明」が付いているそうなのですが・・・わけがわかりません
 Псиは全く蜉蝣の音を聞いたことがなかった為、この展開を見て下手をするとLittle Vampireの様なお笑い系かと思って手を出さなかったのですが、なんとなく気が向いたので手を出してみることにしました。4曲収録で価格は3,700円。大体1曲900円くらいの換算です。・・・レートを算出したところで、誰も得しませんけれど。
 ともかくも、現在ヴィデオデッキを持っていないПсиはDVD版を購入。大体、ルックスさえ知らないのに写真集をもらっても嬉しい筈がありません。早速棲み処に帰り、PS2にセットすると・・・


 蜉蝣のビデオクリップ[蜉蝣]
 総合 :☆☆☆**
 楽曲 :☆☆☆**
 映像 :☆☆☆**
 ネタ度:☆☆***

 驚きました。まさか、蜉蝣が猟奇だとは思いませんでした。1曲目の「夕暮れの謝罪」は人形の側で臓物を食べる様な猟奇っぷり、2曲目の「アイドル狂いの心理学」は閉塞した狂気が全開(微妙な日本語です)。「夕暮れの謝罪」の歌詞を見てみましょう。

赤く紅く赤い紅くアカい 赤く赤く沈んでく太陽
あの子アノ子アノ子あの子アノ子あの子
あの子あの子に伝えて下さい
ごめんゴメンごめん御免なさい
ごめんごめん許してください
僕が俺がボクがオレがボクが
俺が俺が犯した罪を〜

大好きな君に一つ嘘をついていたぁ

空がオレンジに染まりはじめぇ〜ると
何故か悲しい気持ちになぁってきぃ〜て
優しい君に逢いたぁいぃ〜けど
今の僕には抱き締められぇなぁ〜くて〜

赤く紅く赤い紅くアカい 赤く赤く沈んでく太陽
あの子アノ子アノ子あの子アノ子あの子
あの子あの子に伝えて下さい
ごめんゴメンごめん御免なさい
ごめんごめん許してください
僕が俺がボクがオレがボクが
俺が俺が犯した罪を〜

大好きな君に一つ嘘をついていたぁ

空がオレンジに染まりはじめぇ〜ると
何故か悲しい気持ちになぁってきぃ〜て
優しい君に逢いたぁいぃ〜けど
今の僕には抱き締められぇなぁ〜い
せめて最後にもう一度ぉ〜だけ
僕のヘタクソな唄を聴いてくださぁ〜い
いつも待ち合わせた新宿ぅ駅
君が居ないと明かりがみえなぁ〜い

 ・・・歌詞をちゃんと見てみると。猟奇というよりも、情けなくなったムックという気がしなくもありませんが、剃刀付きメールは勘弁なのでお口にチャックです。んー、んー(じたばた)。
 冗談はさておき、かなり激しめの曲調、きついメイクにベタな程にギラギラした衣装、「許してください」と歌う度に律義に頭を下げるヴォーカル、ベッドの上の人形の側で口を真赤にしながら臓器を食べているヴォーカル、そして何よりもとんでもなく美しいベーシストのアップ。ベーシストがアップになる度に、Псиの胸の中がぎゅんぎゅんします。「眼科行き」という謎のコトバが頭の中をリフレインしている間、PS2は残りの「午前三時の太陽光線」「ゆびきり」を再生。Псиの淡い恋心は2曲で終わりました
 ベースのヒト(後で書きますが、ライナーノートには歌詞と注意書以外何も書いていません)は、普通に髪を下ろしている方が綺麗だと思うのですけれど、Псиは眼科行き決定でしょうか。詳しい方、判定をお願いします。

 後半2曲はゆったりとしたテンポの曲なのですけれど、Псиは「午前三時の太陽光線」が妙に引っ掛かりました。妙にドラムが浮いて聞こえる辺りを始めとして、静かめな曲に関してはアレンジャーに恵まれていないんじゃないかと感じたり。そして、何よりも他の三曲のクリップが作れていながら、このクリップはどうなのかという疑問が生じました。
 前半2曲は、曲も映像も畳み掛ける様な展開のクリップ、4曲目の「ゆびきり」は素敵メイク&衣装で木造の小学校を徘徊する映像。大変ゆっくりな曲で、歌詞も、訪れてしまった別れにゆびきりさえできなかった、というさっきまで臓器を食べていたヒトが書いた歌詞とは思えないもの。それだけに撮影場所が1曲目と同じっぽいとか、畳み掛ける様なエフェクトも印象的なシーンもなく、ただメンバーの動作にすべてを任せている3曲目のクリップの演出に違和感を感じるのです。
 もしや監督が違うのでは、とライナーノートを見ると、スタッフクレジットはおろか、メンバー名さえ書いていないという素敵さ加減。映像作品を買う様な客は、メンバー名くらい知っているとでも思っているのでしょうか。・・・思っているのでしょうね、きっと

 4曲とも見終ると、唐突にライヴ映像が。激しい演奏と猟奇な歌詞が流れる中、ライヴのダイジェスト映像が流れます。素敵な表情もアレな表情も結構あるなあと感心する中、やっぱりベースのヒトは髪を下ろした方が綺麗だと再認識しました。ちなみに、この曲の曲名は「リストカッター」だそうです。確かに鬱々とした歌詞っぽかったですけれど。
 そんなわけで、猟奇な描写が大丈夫なヒトには、このアイテムは面白いかもしれません。でも、返す返すも三曲目が微妙に感じてしまう為、手放しでお薦めはしかねます。あと、PS2だとメニュー画面の操作が変に重いのは、仕様でしょうか。

 Псиは、蜉蝣のアウトプットはとても興味深いと感じながらも様子見で行くのと共に、その後に見たPsycho le cemuの「愛の唄」のクリップが群を抜いてアレだったので、いっぱい泣きたい気分です。うわあん、うわあん。

 

平成15年01月12日 h.NAOTOとSHOXXのコラボレーション書籍「h.X」

 週一回更新はデフォルトではありません。こんばんは、Псиです。Be a gothic以外の更新をしようと思って、いろいろとネタを溜めていたにも関らず、気がついたらこの有り様。たとえて言うなら、模試だけ満点のシンジくんです。それはちがう、と綾波の様な突っ込みを入れたヒトには、暴走されて暴れられて食べられる呪いを送ります。
 さて、みなさんはSHOXXという雑誌を御存知でしょうか。ヴィジュアル系の界隈にいながらSHOXXを知らないのは、確実にモグリです。SHOXXは名高いヴィジュ系雑誌のひとつで、特にヴィジュアルにチカラを入れた雑誌です。巻頭特集を組まれたアーティストは写真・記事合わせて20ページ弱を割り当てられるのが普通。そんな巻頭特集、インタビューが掲載されていることと着用衣装のブランドや価格が書いていないことを除けば、ほぼファッション誌のグラビアと一緒です。もっとも、ファッション誌と比べたら服装が遥かに浮き世離れしていることが多々ある為、一般のヒトは明日のおでかけの参考には絶対になさらないことをお薦めします。そんなヒト、いないでしょうけど

 さて、そんなSHOXXと、ヴィジュ系少女御用達の服飾ブランドh.NAOTOによるコラボレート書籍「h.X(エイチドットエックス)」が12月20日に発売になりました。価格は\3,500、グラビアは実に60Pで、バロックの怜、riceのYUKI、Psycho le cemuのseek、wyseのKENJI、そしてPENICILLINのHAKUEIがモデルとして登場する様です。また、h.NAOTOのヒストリーも掲載している他、付録としてダブル・ネーム・Tシャツも付属されるそうです。
 はっきり言って、コストパフォーマンスは優れていながらもやっぱりTシャツは余計ですが、写真の出来は折り紙付きであること、そして何よりカテゴリーが乱立しすぎてよくわからないh.NAOTOのことが少しでもわかればと、Псиは「h.X」を購入することにしました。
 ・・・何も知らずに本屋で巨大な謎パッケージを見かけて、ネタとして押さえなければならない衝動に駆られたという真の理由は内緒の方向です。

 年明けと共に買ってきながら今日初めて封を切った「h.X」ですが、なかなかの出来でした。前半はSHOXXのインタビュー抜きグラビアが連続、後半はh.NAOTOの特集記事、といった構成です。h.NAOTO領域も、前半はh.NAOTOが世界のストリートで撮ったという素敵でアレな写真が満載。U.K.に始まって、U.S、Israel、Spain、Chinaと世界のストリートを・・・Chinaは群を抜いて微妙ですが、細かいことには目を瞑りましょう。
 また、h.NAOTOのファッションショウの歴史や、h.NAOTOの7つのカテゴリーのそれぞれのアイテムやコンセプトなども、写真をふんだんに使って紹介。ゴス衣装というよりもh.NAOTO好きな方が知識を深めるには丁度良いと言えるかもしれません。そんなヒト、いないでしょうけど

 そうそう、気になるTシャツですが、ボール紙で保護されている上、真空パックされているという、X JAPANやTMNに見せつけてあげたい様な心配り。気になる柄は、黒地に赤でh.NAOTOっぽくぐちゃぐちゃと文字が配置された、割といつもの感じのTシャツです。もちろん、銘打ってある通りに「h.X」の文字が入っていますが、なんとなく勿体無くて真空パックを開けられません。ですから、Tシャツの裏面がどうなっているか、Псиにはわかりません。うわあん。
 ただ、書籍の方を何度も見返しましたが、これと同じTシャツは誰も着ていない様でした。なんて勿体無いことでしょう。たとえば、もしも怜がこのTシャツを着ている写真があったら、怜と同じTシャツを何枚も入手する為に、この馬鹿に高い本を何冊も買うヒトが出てくる可能性も、なくはありません。・・・いえ、そんなヒト、いませんね

 インタビューは巻末に各アーティスト1ページのみ。しかも、ファッション談義でありながら冠のh.NAOTOは名前すら出て来ないという素敵な内容。両方のスタッフが割と好き勝手に創っている様が見えて、普通に面白いかもしれません。
 ただ、何せ\3,500ですから、好きなアーティストが何人もいるか、あるいはh.NAOTOの信者さんでない限り、Псиはちょっとお薦めしかねます。もっとも、どちらかに該当するヒトは既に購入しているでしょうけど・・・。

 Псиは、いつからMoi dix Moisに加入しましたかと問い詰めたくなる様な衣装のHAKUEIと、衣装好きとKOME KOME CLUB好きが興じてこの業界を歩き始めたと仰しゃっていたh.NAOTOのアウトプットに、無駄にパンキッシュな祝福を送ります。

 

平成15年01月11日 Be a gothic-XIII[思い出せ]

 というわけで土曜日恒例の「Be a gothic」、今日は第十三回です。妙に某宗教がかった概念を持ち込みたがるヴィジュ界隈のこと、「13」という数字には色々とアレな意味が含まれることがありますが、それはそれとして今日も普通にお届けします。嫌だと言い張る方には、道行くヒトがみんなホッケーマスクを被っている様に見える類いの呪いを送信します。オプションで手にチェーンソーも
 「Be a gothic」では、ヴィジュというだけでアイテムを買う生活から完全に離れてしまっているПсиが最近のヴィジュのアイテムをレビュー、「あのヒト変わってしまったの 髪の毛も短くしたしね」と筋肉少女帯の歌を口ずさみながらヴィジュから退行していったヒトをそうとは気付かない間に引き戻すコーナーです。
 なお、ここで取り上げたレビューはПсиの価値観に基づくものです。従って、迂闊に鵜呑みにすると咽を火傷するおそれがあります。飛び立つ時は自分の意思で

 これはヴィジュに限った話ではありませんが、最近になって数多くのバンドが復活しています。純粋に復活を果たしたバンドもいれば、新しく登場したバンドの筈がメンバー構成がどう見ても昔見たことがある類いのバンドなど、そのカタチは様々。ともあれ、リバイバルブームに乗ってか、それともいい加減生活が厳しくなってきたのか、その両方か、様々なバンドが復活しました。
 メンバーがバンドの解散後もメジャーな存在で有り続けた場合、その復活は大きなインパクトを与えることになります。ですが、解散後は全くメンバー全員の消息が立ち消え、「恐怖の追跡 〜あの人たちは今?〜」でのタレコミ情報が唯一の生存確認というバンドが、一曲だけのヒット曲を頼って十年近くの歳月を越えて復活というパターンだと、目も当てられませんあくまで例です
 復活がファンのトラウマを呼び覚まし、更に追加のトラウマと時間経過による失望を呼んだとしても、それでも復活はファンにとって嬉しいことです。解散や活動休止の理由がファンにとっては納得行かないものであれば、その喜びもひとしおでしょう。

 さて、話は唐突に変わって、ヴィジュのバンドのお話です。ヴィジュの界隈ではメンバーチェンジは日常茶飯事。「音楽性の違い」というファン的にはアレな理由で、「あのバンドの誰が抜けた」とか「このバンドの誰が消えた」などの話は、ごくごくありふれたお話でした。最近はよくわかりません。・・・いえ、ですから、Псиは最近のヴィジュをよく掴んでいないんですってば。
 Псиの知る限りでは、メンバー関連で激しく芳ばしかったバンドを挙げる際に、D=SIRE、MALICE MIZER、そして今日取り上げるバンドを外すことはできません。どのバンドにも共通している点は、コンセプトリーダーの存在です。D=SIREの幸也、MALICE MIZERのManaは、バンドの展開に関して確固たるコンセプトを持っていました。もしもメンバーがそのコンセプトに違和感を感じた場合、どちらかが懐柔しなくてはなりません。そして、殆どの場合は違和感を感じたメンバーの方がバンドを去って行くことになるのでしょう。・・・MALICE MIZERの場合は全然こんな理由じゃなさそうですが。
 今日取り上げるバンドも、やはり強烈なコンセプトメーカーがいました。コンセプトメーカーというと首を傾げるヒトもいらっしゃるでしょうけれど、というよりПсиも現時点で首を傾げていますけれど、それでも楽曲の方向性やヴィジュアルイメージ、展開等はたった一人残った彼が決めていたに違いありません。
 というわけで、今日はヴォーカルのKAMIJO以外全メンバーが脱退した為に活動を休止していたLAREINE(読み:られーぬ)の復活後第二弾アイテム、「ETUDE」を取り上げようと思います。

 LAREINEの特徴と言えば仮想フランス。その一言に尽きます。ヲタ的には「薔薇は美しく散る」をカバーしたバンドといえば、その素敵さをわかって頂けるでしょうか。その無駄な程のロマンチスト具合、耽美的苦悩、それでいてちっとも重くない音、まさしくヴィジュと仰しゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここまで揃っていると逆に異端です
 インディーズ時代から結構派手に立ち回っていたLAREINEでしたが、メンバーチェンジも派手でした。それでもなんとか1999年にメジャーデビューを果たすも、翌年にはKAMIJO以外のメンバーが全員脱退、結局LAREINEは解散してしまいました。しかし、誰が待ち望んでいたのかは知りませんが、LAREINEは帰ってきました。また、あの仮想ヴェルサイユな世界が帰ってくるのです。
 そんなわけで、Псиは真先にライナーノートの一番後ろを見ました。もちろん、メンバーの名前を確かめる為です。すると・・・

Produced by LAREINE

Vocal:KAMIJO
Guitar:?
Bass:?
Drums:?

 ・・・何の冗談ですか?調べてみると、どうやら復活LAREINEはKAMIJO以外全員サポートメンバーで構成されているそうです。突っ込む気も起こりません
 落胆した気分を激昂したオスカル様レヴェルまで持ち上げる為に、CDを聴くことにしましょう。CDはクリスマス仕様で、KAMIJOが一人で写ったクリスマスカードが付属されている他、ПсиがこのCDを買ったショップがちょっとアレなショップだった為か、X'mas Message CDなんてものまでついてきました。
 考えてみたら、クリスマスからまだ一ヶ月も経っていませんし、お正月から二週間も経っていません。なのに、ヒトは微熱に浮かされた様にあの期間を過ごし、そして今になったら、喉元を過ぎた熱さの如くその期間のことを忘れようとしています。いけません。思い出しましょう。あの誰もが赤くて白かった、たかだか20日程前の事を。そして、あの頃のLAREINEの音を。記憶の中のクリスマスの情景は、記憶の中のLAREINEの楽曲をBGMに、とてつもない脳内世界を描き出すに違いありません。このCDを聴けば、その素敵世界の足がかりが・・・


 ETUDE[LAREINE]
 総合 :☆☆☆**
 楽曲 :☆☆***
 映像 :(判定不能)
 ネタ度:☆☆☆☆*

 ・・・LAREINEはLAREINEでした。旧LAREINEの頃も、シングルばかり買っていた上にロクに聞き込みもしなかったПсиには、あの頃と何が違うのかよくわかりません。とりあえず、ジャケットに関してはKAMIJOがHAKUEI路線で好き勝手しています。
 一曲目が短いインストで二曲目に続く構成になっている様なこしゃくな演出も昔と変わりません。歌詞の甘ったるさに関しては・・・見て頂いた方が早そうです。とりあえず、二曲目の「レッスン」の歌詞を引用です。

鍵盤に凭れて
羽根を突き刺した五線譜の中に
溢れ出した哀しみが散りばめられ並んでゆき
響き始めた

消えかけた想いが涙と寄り添って流れ出す
ただ添えてる指先も震えた方も命を感じて...

一人だけで愛を奏で出したピアノ
まるで人のような優しさに溢れて
愛に抱かれながら眠り落ちてゆけば
全て忘れさせてくれるかな?

消えかけた音符に愛の言葉達を吹き込んでく
まだ震える指先も落ちた肩もその命...感じた

一人だけで愛を奏で出したピアノ
まるで人のような優しさに溢れて
愛に抱かれながら眠り落ちてゆけば
全て忘れさせてくれる

止まる事を知らぬピアノ
もう自分を許してあげて

踊る日々のように回る
Ah...その旋律に...

銀の五線譜の橋を渡るバラ色
Ah...その旋律に...

 ・・・ちゃんと情景描写をしているPENICILINの歌詞というか、間違った方向で完成したElDoradoの歌詞というか、アンジェリーク好きをターゲットにしたつもりがシスタープリンセスに近付いてしまった世界観というか、ともかくアレな例を出さないとコメントすら困難です。いえ、一言で言うことはできるのですが、Псиも夜道を普通に歩きたいので保留しておくことにします。
 昔のLAREINEを知っている方には、「何も変わっていません」で話は終わります。もしも実際にこのアイテムを聴いて違和感を感じる様な方は、Псиがこんなことを言う以前にこのアイテムを買っているでしょう。聴いたことが無い方には・・・ええと、入門としてはシングルを聴かれることをお薦めします。旧LAREINEで良ければ「冬東京」辺り、復活後なら「蝶の花」を。もっとも、「蝶の花」は今回のアイテムに収録されていますし、カップリングは上で紹介した「レッスン」ですけれど、価格が\300らしいので、入門としては最適かと思われます。
 LAREINEは、本当にヒトを選びます。それも、メトロノームやバロックの様な一部謎歌唱の所為とかではなく、むしろムック等に通じるこの空気は好きになれないという類いのものです。もしもこれらのアイテムを聴いて何かしらの電波をキャッチしてしまったら、後はもう飽きるまで突き進んで下さい

 さて、一緒に付いてきたメッセージCDですが・・・再生した途端、「蝶の花」のピアノヴァージョンが演奏されます。そのまま暫く待つと、突然「めりー・・・くりすます」という不思議な声が。その後、3月26日のAXライヴのことや、「ETUDE」は復活の序章に過ぎず、第二章はそのライヴから始まる等の極めてそれっぽいことを羅列して終わってしまいます。
 最初の「めりー・・・くりすます」で思考が停止してしまったПсиは、その後の情報が全く頭に入りませんでした。それにしたって、ピアノをバックにファンへのメッセージなんて特典CDを笑い要素ゼロで作れるのは、もはやLAREINEしかいないでしょう。良いか悪いかは別にして。いえ、すみません、訂正します。とても良いことです。Псиはいろんな意味でそう思います。

 とりあえず、Псиは3月のライヴに行く気はまったくありませんし、今後のLAREINEのアイテムを購入するかどうかも微妙です。楽曲次第と言いたいところですが、LAREINEのテレビ露出は人間椅子のテレビ露出並みに皆無でしょうから、結局はジャケットと魔の差し具合で決めてしまうのかもしれません。
 ともあれ、ПсиはLAREINEを適当に見守って行くのと共に、今更クリスマスのことを思い出して、世間から置いてけぼりを食らった気分です。さあ、みなさんもこの素敵な感覚を共有(迷惑です)。

 

平成15年01月04日 Be a gothic-XII[回る歯車]

 というわけで土曜日恒例の「Be a gothic」、今日は第十二回です。年明けなのに微妙な数ですが、聖闘士星矢のDVD-BOXの発売に免じて許してあげてください。もしも全然興味が無いという方には、黄金の甲冑を纏ったヒトに四六時中電柱の陰から見詰められる類の呪いを送信します。美形っぷりが痛さを強調
 「Be a gothic」では、かつての陰気なヴィジュ系しかよく知らないПсиが最近のヴィジュのアイテムをレビュー、ヴィジュの界隈から半端に抜け出そうとしている方の年明けの明るい空気をものの見事に払拭するコーナーです。ちなみに、今回は月頭ですので、既に解散しつつもヴィジュの界隈に多大な影響を与えたバンドを取り上げます。あと、今回から標題はバンド名ではありません。悪しからずご了承ください。
 ここで取り上げたレビューはあくまでПсиの価値観に基づくものですので、Псиのレビューを鵜呑みにすると咽を火傷するおそれがあります。というか、この時期は素でお餅に注意です。

 さて、今も昔も日陰の道を歩きつづけているヴィジュ界隈ですが、そんなヴィジュの世界にも何度かムーブメントが起こりました。一般を巻き込む程巨大なものもあれば、ヴィジュの界隈に居るヒト以外は鼻で笑う手間さえ惜しむ類のものもありましたが、ともあれヴィジュの界隈も数々の波を掻い潜ってきたわけです。
 その中でも、比較的最近起こった巨大なムーブメントが「名古屋系」と呼ばれるバンドの台頭です。90年代初頭、名古屋出身のバンドが一気に全国区に踊り出たのでした。名古屋は、メンバーが抜ける度にコンセプト変更を繰り返すでお馴染みの黒夢の出身地であり、黒夢のローディとして動いていたバンドマンたちが次々とバンドを組み、そのまたローディが・・・というローディ連鎖が発生。具体的に言えば、ROUAGEのRIKA、そしてLaputaのakiやTomoiが黒夢のローディでした。
 また、名古屋には円盤屋というショップがありました。俗に言う「ヴィジュ系ショップ」の円盤屋、精力的に情報発信も行い、ラヂヲ番組で店長自らが注目のアーティストを紹介もしていました。あの頃のヴィジュの界隈を生き抜いた方なら、円盤屋のワニ社長といえばピンと来るかもしれません。・・・ちなみに、件の鰐部店長は現在では借金を作って夜逃げしているという噂が流れているのですが・・・本当でしょうか。

 こうして名古屋ではヴィジュのバンドが着々と育ち、また、次々と情報発信されていったおかげで、名古屋発のバンドが異常な盛り上がりを見せたのが、俗に言う名古屋系ムーブメントでした。・・・関東でも、YOSHIKIが立ち上げたEXTASYレーベルがそこそこ元気でしたし、プログラムの80%が音楽番組か競艇のTVKもあったのですが、如何せんローカル局は駄目だった様です。
 そんな名古屋系の基盤となったレーベル「noir」の主、ROUAGE(読み方:るあーじゅ)を今回は取り上げようと思います。インディーズ時代のROUAGEにはKAIKIというベーシストがいましたが、メジャーデビューと同時に脱退。メジャーの1stアルバムを出した後にYukiというベースが加入しますがシングル2枚で休養に。その後はベースの座は空白となり、名義は4人で活動することになります。ちなみに、最後のNKの頃のベーシストは元STRAWBERRY FIELDSのSEISHIROだったりしますが、あえてあまり触れないことにします。
 ROUAGEの楽曲といえば、初期は淡々としたA・Bメロに印象的なサビという、まさに王道的サウンド。中には淡々としたまま終わる楽曲や、叫んだまま終わる楽曲もありますが、それも時代の象徴です。Laputaもミディアムテンポの楽曲が多かったですしね(フォローになっていません)。
 しかし、初期でこそそんなでしたが、2ndアルバムから好き勝手具合を徐々に発露。生音にこだわってみたり、打ち込みに偏ってみたり、カップリングがアカペラだったりと紆余曲折を経て、最後のアルバム「Lab.」はロックテイスト溢れる名盤に。激しさも緩やかさもしっかりと手に入れたROUAGEは、しかしNK HALLのライヴを最後にギターのRIKAが脱退、そしてドラムのSHONOも脱退してしまい、ROUAGEは事実上終了してしまうのでした。
 今日取り上げるのは、ROUAGE最後のライヴを収録した「NK AUG.26.2000」というCDです。そんな経緯があったので、ПсиはこのCDを買うことすらできなかったのですが、いい加減この気持ちを払拭しようと購入してみたのでした。


 NK AUG.26.2000[ROUAGE]
 総合 :☆☆☆☆*
 楽曲 :☆☆☆**
 映像 :(判定不能)
 ネタ度:*****

 このライヴ盤、基本的には最後のオリジナルアルバム「Lab.」の楽曲を元に構成されているのですが、「Lab.」に収録された楽曲と比較すると明らかにアレンジがライヴ向けです。・・・いえ、そんなことは当然のことなのですけれど、「クロール/バタフライ」の「5..4..attention..butterfly」というヴォイスが全然レコーディング声じゃなかったり、元曲よりもテンポが明らかに遅かったり、所々声が抜けたり(注:ROUAGEのライヴでは仕様)と、ライヴな感じをこれでもかというくらいに聴かせてくれます。
 ただ、元からマニアックな曲調といえる後期ROUAGEの楽曲が、このライヴ盤だと更にマニアックな演奏になっているところは否めません。ROUAGEと聞いて「BASARAの主題歌のヒトたち」という印象しか無いヒトには、正直おすすめできません。「endless loop」は入ってませんし
 このアルバムは二枚組なのですが、一枚目の最後は「Lab.」と同じく「すばらしき邪魔者」という曲で終わります。明るめな曲調ながらもどこか切なさの残る、LUNA SEA的には「WISH」や「STAY」の様な楽曲です。ちょっと歌詞を見てみましょう。

キミも目の前から いつかは消えるでしょう?
こんな傷痕でも いつでもきれいでしょう?

涙は乾くでしょう?

言葉にしても足りないことを どれだけ 云えたのだろう

すばらしき想い出よ 愛しすぎた日々よ いまを 二度と邪魔しないで ボクを
awayawayawayGOaway!

遠くへ行けば そこで 生まれ変われるよな 見違えるジブンなんて
そんなワケないでしょう
泪はあるのでしょう?

すべて奇麗にまとめてしまう ココロなんて要らない

すばらしき想い出よ 愛しすぎた日々よ いまを 二度と邪魔しないで ボクを
awayaway

すべて奇麗にまとめてしまう オマエなんて要らない

すばらしき想い出よ 愛しすぎた日々よ いまを 二度と邪魔しないで ボクを
awayaway
No way!Go away!
No way!Go away!
No way!Go away!
No way!Go away!
No way!Go away!
No way!Go away!
No way!Go away!
No way!

Go ahead!

 とてもROUAGEっぷりが全開の歌詞です。最後の最後でなんて前向きなのでしょうか。ライヴではこれで本編が終了、アンコール(2枚目)へと続きます。
 こうして想い出を拒絶したままROUAGEが終了した後、ドラムのSHONOは音楽業界から足を洗い、ギターのRIKAはdibsで活動中、そしてギターのRAYZIとヴォーカルのKAZUSHIはSTRAY PIG VANGUARDを結成、1stアイテムおよびライヴの名前が「燃えるゴミ」という相変わらずの飛ばしっぷりで、現在も活動中です。
 noirというレーベルは、ROUAGEのローディをしていたバンドマンたちが次々と所属、雫...、Romance for〜、CROW-SIS、そしてFANATIC◇CRISISなどの全国区に進出したバンドを幾つも抱える様になるのでした。また、名古屋系ムーブメントの発端にnoir、そしてROUAGEがいたのは確か。もしもROUAGEが火を点けなければ、SWEET CHILD勢が隆盛の土壌は構築されなかったかもしれません。オーバーですか。ごめんなさい。

 Псиは、良い具合に進化を続けていったROUAGEの楽曲に祝福を送るとともに、今なお頑張り続けているSTRAY PIG VANGUARDの楽曲にも祝福を送ります。

 


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